2022年12月
【月曜】 伝染性紅斑(リンゴ病)
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによって起こります。赤いリンゴのような頬になることから俗に「リンゴ病」と呼ばれています。大きさは新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの5分の1の小さなウイルスです。
春ごろに主に流行します。年齢別では5歳が最も多く、0歳からもかかりますが生後6か月以降に多くみられ、5歳までは年齢を重ねるとともに発生が増加します。6歳以降、年齢を重ねるとともに減ってきますが稀に20歳以上の大人がかかることもあります。
この疾患は、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛まつ感染」や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」でうつります。予防接種や特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。予防には、手洗い、咳に対するエチケットが有効です。
約10日(4~20日)の潜伏期間の後、両頬に境界鮮明な紅い発疹が現れます。続いて体や手・足に網目状の発疹が拡がりますが、これらの発疹は、通常1週間程度で消失します。多くの場合、頬に発疹が出現する7~10日前に、微熱や風邪のような症状がみられ、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。発疹が現れる時期にはウイルスの排出量は低下し、感染力もほぼ消失します。発疹が出る前が、他の人にうつす可能性がある時期です。通常は顔などの発疹から診断されますが、典型的な症状が出ない場合や、症状が全く出ない感染も多くあると言われ、多彩な臨床症状があることがわかってきました。
したがって発疹が出ている人を休ませてもパルボウイルスB19の広がりを防ぐことにはならないので、伝染性紅斑は学校での出席停止の対象にはなりません。
ただ、妊娠中(特に妊娠初期)に感染した場合、まれに胎児の異常(胎児水腫)や流産が生じることがありますので、健康な妊娠・出産のためには注意したい感染症の一つです。 保育園や学校など周囲で患者発生がみられる場合、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性は、風邪症状の方との接触をできる限り避けるよう注意が必要です。どうかコロナで身につけた習慣、すなわち他の人がかかっていてもうつされない、自分がかかっていても人にうつさない習慣を続けてお過ごしください。