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健康情報テレホンサービス

2023年1月

【木曜】 「ラクナ梗塞」って何ですか?

 ラクナ梗塞の「ラクナ」ってなに?と疑問に思われる方も多いでしょう。「ラクナ」とはラテン語で「小さなくぼみ」や「空洞」を意味します。脳の奥にある1mm以下の細い血管が詰まったために起こります。その結果、直径15mm以下の小さな脳梗塞になります。ラクナ梗塞は病変が小さいため、脳ドックなどのMRI検査で偶然見つかる事も多く、症状のない無症候性脳梗塞、いわゆるかくれ脳梗塞になることもしばしばです。ただし、症状がなくても安心はできません。放っておくと、本格的な脳梗塞を発症したり、認知症になるリスクが高くなります。
 ラクナ梗塞は、高齢者や男性に多い傾向があります。その原因は、高血圧、糖尿病、コレステロールの異常などによる脳血管の動脈硬化と考えられています。中でも高血圧の影響が最も強く、その管理がとても重要です。脳の奥にある細い血管の動脈硬化は、一歩間違えば脳出血の原因にもなり、注意が必要です。
 もしあなたにラクナ梗塞が見つかったら、まずは手始めに高血圧の管理に取り組みましょう。もっとしっかり予防したいと思われる方は、是非とも、かかりつけ医、もしくは脳神経外科、脳神経内科専門医に相談して下さい。ラクナ梗塞の治療は、高血圧を中心とした生活習慣病の厳重管理と定期的な健診です。
 当然のことながら、ラクナ梗塞は無症状ばかりでなく、半身の脱力やしびれ、ろれつが回らないなどの症状を出します。症状が出た場合は、再発を予防するために血をサラサラにする飲み薬(抗血小板薬)を服用します。
 注意すべきは、約2~3割の症例で症状が進行することです。ラクナ梗塞に限らず、ほとんどの脳梗塞の治療は時間との戦いです。脳梗塞を疑ったら、迷わず専門病院を受診しましょう。症状が出て4時間半以内であれば、条件次第で特別な点滴による治療を受けられるので、一刻も早く受診することが大切です。最後に、今年の脳卒中月間のスローガンは「脳卒中、予防にまさる薬なし」です。みんなで予防に努めましょう。

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