2023年1月
【水曜】 つき指
つき指とはその名の通り、指を突いたり、ボールが当たったりして指を痛めることです。靭帯を損傷したり骨折していることもあります。整形外科クリニックの外来診療において、つき指はよくみられる疾患の一つです。特にスポーツをしている子どもさんに多く、バスケット、バレー、ドッジボールなどの球技でよく起こります。ボールや相手の体などが手に当たり、指を突いたり反らされたりしてつき指が生じます。指の関節の痛みや腫れ、内出血、曲げ伸ばしがしづらいなどの症状が現れます。特に第2関節のつき指が多いです。
つき指をしたら、運動を中止して安静にし、引っ張らないようにして、まず冷やしてください。つき指をした部分は内出血でどんどん腫れてきますので、それを防ぐため、氷嚢や水道水などで冷やしてください。これをアイシングといいます。アイシングは5℃前後が理想ですが、長時間のアイシングによる凍傷に気をつけてください。
たかがつき指と思って放っておくと痛みや腫れ、曲げ伸ばしがしづらいなどの症状が、思いのほか続くことがあります。中には骨折や剥離骨折、靭帯損傷を起こしていることがありますので、早めに整形外科を受診されることをお勧めします。
診断は指の痛み、腫れ、内出血などの症状とレントゲン検査などで行います。治療は、軽いつき指の場合はテーピングなどを行います。骨折と診断された場合、ズレ(転位)が少ないときはシーネと呼ばれる副木で固定します。ズレがあるときは指を引っ張るなどして形を戻したり(整復)、場合により手術治療を行います。ズレの少ない剥離骨折の場合は、数週間シーネ固定を行い、レントゲン検査で経過を見ながら徐々に指を動かしていきます。比較的良好な経過をたどります。大人は子どもに比べ、治療の期間が長引いたり、指を動かせる範囲の制限や変形などの後遺症がやや残りやすいです。
つき指を予防するには、普段から指をストレッチすることです。特に運動前はよくストレッチを行ってください。指を曲げたり反らせたりして軟らかくしておくことです。また、再発を予防するためには運動時にテーピングやサポーター装着などを行うことがあります。
つき指に対しては軽く考えず、早期に対処し、整形外科を受診して適切な診断、治療、アドバイスを受けることをお勧めします。