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健康情報テレホンサービス

2023年3月

【木曜】 三叉神経痛

 三叉神経は、主に顔面の感覚を脳に伝える神経で、その名のとおり3つの枝に分かれています。第1の枝はおでこ、第2の枝はうわあご、第3の枝はしたあご周囲の感覚をつかさどっています。三叉神経痛は顔面に出現する痛みの病気です。俗に顔面神経痛と言われることもあります。
 三叉神経痛の顔の痛みはかなり特徴的です。痛みは非常に強く、突発的な痛みです。一瞬の電気が走るような激痛です。痛みの持続時間は数秒のものがほとんどで、ながく続いてもせいぜい数十秒です。逆に、何分も続くような痛み、じりじりとした持続的な痛みは三叉神経痛ではないことがほとんどです。
 三叉神経痛の痛みは、いろいろな動作で誘発されます。洗顔、お化粧、ひげそりなどで顔に痛みが走ります。また、食事や、冷たい水を飲むと痛みが走ることもあります。痛みで歯磨きができないこともあります。このように痛みにより日常生活に支障をきたし、重症の場合は、生活が困難になる場合もあります。
 三叉神経痛は、痛みをもたらす原因により3種類に分類されます。最も多いのが、頭の中で血管が三叉神経を圧迫することにより痛みがでる「典型的三叉神経痛」です。そのほか、脳腫瘍などに伴い痛みがでる「二次性三叉神経痛」、検査をしても明らかな異常が見つからない「特発性三叉神経痛」があります。
 「典型的三叉神経痛」は50歳代以降の人に発症が多く、男性より女性に多いとされています。二次性三叉神経痛はあらゆる年代にみられ、若い人にも発症することがあります。典型的三叉神経痛の治療は、体への負担が少ない薬物療法からはじめます。薬物療法としては、抗てんかん薬のカルバマゼピンが特効薬として有名です。ただし副作用のため服薬ができない場合も多く、他の類似薬や漢方薬が試されることもあります。内服薬が無効の場合は、神経ブロックや脳神経外科手術が必要となります。
 三叉神経痛は、原因を特定して適切な治療を行うことにより痛みを緩和することができる病気です。痛みの性質から三叉神経痛が疑われる際には早い段階で専門の医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

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