2023年4月
【金土日】拒食症
現代は飽食の時代と言われています。食欲を刺激するようなグルメ情報がそこら中に溢れています。その一方で、やせていることを賛美する文化もあり、多くの人、特に女性は常にダイエットを意識しています。また、女性誌や街で見かける看板にはダイエットという言葉が目につきます。やせたいという願望から拒食になることがしばしばみられます。
最近では、オンライン診療で、体重減少の効果のある糖尿病治療薬をダイエット薬と称して処方している美容系の診療所もあります。やせている人がこのような薬で更にやせることがあり、非常に危険です。
拒食症は、10~20代の女性に発症が多いのが特徴です。診断基準は、拒食症以外の他の疾患が認められず、標準体重から20%以上の体重減少が、3か月以上持続することです。拒食症の人は、過度な食事制限や運動を行いダイエットに成功した後も、「まだ太っている」と体重を落とすことに執着し、健康を害するほど低体重になっています。それでもまだ、自分が拒食症という病気にかかっていることを理解できない状態です。
拒食症の身体的な症状としては、体重の極端な減少はもとより、無月経、不眠、うつ症状、低体温症、産毛の増殖などが見られます。また精神症状としては、やせ願望が強く、肥満恐怖、うつ傾向、不安感などが見られます。
治療法としては、病気であるという認識に欠けているため、拒食症の正しい知識と理解を得ることから始まります。また拒食症に対する特効薬というのも存在しません。規則正しい食生活を心掛けるだけでなく、家庭環境が原因で拒食症になる場合もあるため、家族全員が治療に協力してもらう場合もあります。体重減少がひどく、生命にかかわる場合は、外来での治療は困難であり、入院にて、点滴などによる栄養摂取が必要となります。家族が病気を理解すること、家族の患者への対応の変更も重要であると考えています。このような症状で悩んでおられる場合は、医療機関にご相談ください。