2023年6月
【木曜】 小児マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎というのは、細菌とウイルスの中間の性格を持った微生物のマイコプラズマが肺に感染して起こる病気です。赤ちゃんにはあまり見られず、学童の子どもがかかりやすい病気で、7~8歳にピークがあります。
咳や痰を吸い込むことによりうつる飛沫感染が主です。教室で流行することがあり、潜伏期が2~3週間程度と長い感染症で、兄弟が感染した場合、その後に別の家族が感染することがよくあります。日本では従来、4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきましたが、近年、この傾向は崩れつつあります。
症状は発熱と咳で、高い熱や激しい咳がでることもありますが、微熱程度でも咳が長引く場合もマイコプラズマ肺炎の可能性があります。
最終的な診断は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの抗原検査のように、痰や咽頭のぬぐい液から菌を検出する方法を用いることが多いです。
治療にはマクロライド系の抗生物質をしっかり服用することが大切です。咳がいつもの風邪よりも長引いている時は、マイコプラズマへの感染かもしれません。早めに受診してください。
マイコプラズマに感染すると、解熱した後も1~2週間程度倦怠感が続いたり、1ヶ月程度咳が続いたりすることがあります。
マイコプラズマ肺炎の予防法ですが、ワクチンはありません。新型コロナウイルス感染症と同様、手洗いやうがい、マスクの着用が基本で、患者との濃厚接触を避けることが重要です。
マイコプラズマ感染症は学校で予防すべき感染症としては明記されていませんが、「第三種のその他の感染症」として取り扱われています。これは、「急性期は出席停止、全身状態が良ければ登校可能」とされていますので、発熱や激しい咳の症状がおさまるまでは、学校や幼稚園等は出席停止になります。 個人差がありますが、だいたい1週間程度はお休みすると思っておくと良いでしょう。