2023年7月
【水曜】 むずむず脚症候群
「むずむず脚症候群」は1997年に報告された病気で、日本では人口の約2%~5%、20人~50人に1人に存在すると推定されています。発症は男性より女性に多いようです。
夕方から深夜にかけて、下肢を中心として、「ムズムズする」、「痛がゆい」、「じっとしていると非常に不快」といった異常な感覚が出現してくる病気です。
足を動かすことの異常感覚はすぐに消えるのですが、じっとしていると再び出現してきます。飛行機や電車内、映画館などで、長い間じっとしていなければならない時に、脚がむずむずしてきて、脚を動かさずにはいられなくなる。このようにじっとした姿勢や、横になったりしているときに、主に膝下の部分や腰から背中、時には、手、全身にまで現れることがあります。
「むずむず脚症候群」で問題となるのは、脚の不快な感覚や不眠だけではありません。この患者さんは交感神経の活動が活発になっているため、血圧が高くなったり、脈拍が増える傾向があります。そのために、心臓や脳血管に関係する病気を発症するリスクが約2倍高まっていることが指摘されています。また、一番困ることは、熟睡できないために日中も眠気がとれず、集中力が低下するなど日常生活に支障をきたすことです。
この疾患の原因は不明ですが、脳の中にあるドーパミンという神経物質が分泌される経路に何らかの障害が生じることで、むずむずとした不快症状を引き起こすと考えられています。また、このほかに、鉄分やビタミンB・葉酸などの栄養不足、生理・妊娠、遺伝などが挙げられます。その他、糖尿病・甲状腺機能異常・パーキンソン病・関節リウマチ・腎不全・うつ病なども、「むずむず脚症候群」を引き起こす原因とされています。
薬物が原因となることも少なくありません。抗うつ薬・向精神薬・抗ヒスタミン薬などが挙げられます。また、身近なカフェインやニコチン、アルコールも、「むずむず脚症候群」を引き起こす原因とされています。
「むずむず脚症候群」の診断は、主に問診と血液検査によって行われます。また、必要があれば睡眠ポリグラフ検査が行われます。
治療には薬物療法以外にも非薬物療法があります。カフェイン入り飲料、アルコール、煙草をやめる。ぬる目の風呂に入る。就寝前にストレッチ体操をする。足裏マッサージをする。規則的な就床、健康的な食事と適切な運動をすることが大切です。
お困りの方はかかりつけ医にご相談ください。