2023年7月
【月曜】 加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症は、テレビの健康番組でもよく取り上げられ、緑内障や白内障とともに、とても関心の高い目の病気の一つです。目の奥にある、カメラのフィルムにあたる網膜の中でも、一番感度のよい中心部を黄斑といいますが、老化によってこの黄斑が変化するために起こる病気を加齢黄斑変性症といいます。
この病気には、「萎縮型」と「滲出型」の二つのタイプがあります。
萎縮型は、網膜が薄くなり働きが悪くなったために起こるものです。滲出型は、網膜の奥から通常ではない新生血管が網膜の裏に侵入して、血液の水分がもれて網膜に水ぶくれができ、そのため物が歪んで見えて、視力も落ちてきます。また、ときに出血を起こして視野が欠けてしまうこともあります。その原因は、まず老化が第一ですが、それ以外に喫煙、高血圧、肥満などが考えられています。
もし、かすみ目や、ものの歪みを感じたときは、まず眼科を受診してください。そして視力検査、眼圧検査、眼底検査などの基本的な検査のほかに、ゆがみを知る検査や、黄斑部の3次元構造を調べる検査も受けましょう。異常があれば、さらに、造影検査なども必要となります。
治療は病気のタイプによって異なります。萎縮型には、現在のところ残念ながら有効な治療はありません。
一方で滲出型への治療は、新生血管からの水漏れや出血を抑え、視力低下を食い止めることを目的としたものになります。
現在の治療は、抗VEGF剤という新生血管を抑えこむ特殊な薬剤を、眼球に直接注射する治療から行われます。ただし、再発が多く、年に数回の注射を長年にわたって受けている方も多いようです。それだけではなく、弱いレーザー光線と注射薬で新生血管だけを抑えこむ、光線力学療法が行われることがあります。また最近の話題となった、iPS細胞を用いた新たな治療法が試みられていますが、まだまだ一般化していません。
この病気では、黄斑部に存在するルテインという色素が注目されています。老化によって減少するルテインを補うために、緑黄色野菜や、サプリメントによりルテインをとることが、黄斑変性の予防や治療に有効ではないかと期待されています。気になることがあれば、近くの眼科医を受診してください。