2023年8月
【木曜】 腎盂腎炎
急性腎盂腎炎とは、腎臓の中で尿をためておく腎盂という部分に細菌が感染し起こる病気です。
腎臓の中まで感染が波及すると、重症化する場合もあります。また、糖尿病の合併で重症化しやすくなります。まず、膀胱炎が起こってから、腎盂腎炎になることもあります。
症状は、悪寒やふるえを伴うような発熱で、左右いずれかのわき腹の痛みをうったえることが多いです。発熱は39℃~40℃に達することがあります。
腎盂腎炎は、単純性腎盂腎炎と、複雑性腎盂腎炎に分けられます。単純性腎盂腎炎は、腎臓そのものに明らかな異常がなく発症する腎盂腎炎で、水分摂取不足、排尿を我慢することで起こる膀胱炎が悪化して腎盂腎炎になる場合や、膀胱炎が悪化する前に腎盂腎炎となる場合もあります。複雑性腎盂腎炎は、尿管の通過障害が起こることで引き起こされる腎盂腎炎のことをいいます。その病態は、腎結石、尿管結石などの結石、もしくは尿管狭窄などにより、尿管への通過障害を引き起こし、腎盂内に尿がたまり、腎盂内が拡張する水腎症になった後に腎盂腎炎になります。結石に伴う腎盂腎炎で、結石のために感染した尿が排出されないと、全身で血液が固まったり、敗血症とよばれるになり死に至ることもあります。その場合は一旦、尿管内の通過障害を治療した上で抗生剤治療を行い、最終的には結石に対して治療が必要になる場合もあります。
また、原因が不明の場合でも腎盂腎炎をくり返す場合は、膀胱尿管逆流現象が疑われることがあります。通常、膀胱に入った尿は通常は腎臓には戻りませんが、逆流してしまうことがあるのです。主に幼少期の繰り返す尿路感染による発熱から診断、治療に至るケースもあります。
治療としては、点滴、もしくは飲み薬による抗生剤治療です。重症の場合には、集中治療室での治療が必要となる場合もあります。複雑性腎盂腎炎といった原因となる病態が見つかれば、状態がおちついてからその治療も引き続き行う必要があります。
異常を感じたら、早めにお近くのかかりつけ医や泌尿器科を受診しましょう。