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健康情報テレホンサービス

2023年8月

【水曜】 機能性ディスペプシア

 機能性ディスペプシアとは、みぞおちを中心とした不快な症状を起こす病気です。具体的な症状は、胃もたれ・胃痛、おなかが空かない、少し食べただけですぐに満腹になる、みぞおちの焼けるような痛み、吐き気等です。また、こういった困った症状があるのに、胃カメラや腹部エコー、血液検査で、胃炎や胃潰瘍、胃がんといった原因となる異常がないことが特徴の病気です。

 この病気は、胃や十二指腸の働きがうまくいかないことによって起こります。通常、胃は空腹時にはしぼんでいますが、食べ物が入ってくるとその刺激によって膨らんで食事をしっかり溜め込もうとします。機能性ディスペプシアの患者さんの胃は、食べ物が胃に入ってもうまく胃が膨らむことができず、すぐに満腹になってしまいます。

 また、胃から十二指腸へと消化したものを送り出す働きも弱っているために、胃もたれや吐き気が起こったり、胃酸への知覚過敏のために胃痛やみぞおちの焼けるような感じを起こします。

 まだはっきりしない部分もありますが、ストレスや睡眠障害などが引き金となり、自律神経の乱れが起きると、機能性ディスペプシアが生じやすいことがわかっています。

 この病気を診断するには、みぞおち周辺の不快な症状があるのに、胃カメラ、腹部エコー、血液検査などで異常が無いことが大事です。症状だけで判断すると、胃潰瘍、胃がんや逆流性食道炎などの他の病気を見逃してしまうことがありますので、検査が重要になります。

 機能性ディスペプシアと診断された場合には、まず生活習慣を見直しましょう。ストレスや不規則な睡眠が原因となり得ますので、規則正しい食事、睡眠をこころがけ、あぶらものや刺激物、酸っぱい食べ物は避けるようにしましょう。適度な運動も胃の動きが活発になりますのでお勧めです。

 また、治療薬としては、胃酸の知覚過敏へは胃酸をおさえる制酸剤があります。胃や十二指腸の動き・働きを調整するお薬や漢方薬も効果があります。

 環境の変化だけでも自然と治ることのある病気です。しかし、ご自身での食生活・生活習慣の見直しだけでは症状の改善が乏しい場合は、他の病気の可能性もあります。自己判断せずにかかりつけ医へご相談ください。

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