兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2023年8月

【火曜】 在宅医療の限界とその対応

 在宅医療は、病院や診療所ではなく、患者さんの自宅で医療を提供する医療サービスです。多くのメリットがありますが、在宅医療にも限界があります。

 まず、医師や看護師などの医療スタッフの不足が挙げられます。在宅医療は、専門的な医療知識や技術が必要とされるため、十分な医療スタッフが必要です。地域によっては医療スタッフの不足が深刻な問題となっています。

 スタッフ不足には、多職種連携で対応します。訪問看護ステーションの看護師、介護支援センターのケアマネージャー、訪問リハビリ、調剤薬局、保健所、他の医療機関等と連携を取ることにより、スタッフ不足を補完できます。

 次に、設備や医療機器の不足があります。在宅医療は、患者さんの自宅で医療を提供するため、設備や医療機器、適切なトイレや浴室がない場合があります。点滴などの医療機器を使用する場合には、専用の設備や機器が必要となります。

 対策として、ポータブルエコー、ポータブル心電計など在宅特有の検査機器の活用、皮下点滴、褥瘡におけるラップ療法など治療の工夫や、スマホを利用した遠隔医療も適切に使用すれば役立ちます。また、介護保険を利用して介護用ベッド、ポータブル便器の購入、自宅の改修などが行えます。

 在宅医療は、緊急時の対応が難しい場合があります。緊急時には、病院や救急車を利用することが必要な場合がありますが、在宅医療では、患者の自宅に医療スタッフがいるわけではありません。そのため、緊急時の対応が遅れる可能性があります。

 対策として、チーム医療による当番制の活用、診療所どうしや病院との連携、24時間対応の在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションの活用が挙げられます。

 以上のように、在宅医療には様々な制約があります。 しかし、在宅医療の普及によって、患者の生活の質を向上させることができるなど、多くのメリットがあることも事実です。限界を克服し、在宅医療を一層充実させるために、医療スタッフや設備の整備など、医療・介護の従事者としてはもちろんですが、国の政策としてもさまざまな課題に取り組むことが求められます。

 在宅医療を希望される方はかかりつけ医、地元医師会、保健所、地域包括支援センターなどに問い合わせるといいでしょう。現在入院中であれば病院の地域連携室に相談するといいでしょう。

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