2023年9月
【月曜】 日光角化症はがんです
昔日光浴が盛んに勧められ、子どもたちは海水浴でも皮膚が真っ黒になるまで遊んでいました。しかし、ここ数十年ですっかり変わってしまいました。
ご存知のように、オゾン層が薄くなって、紫外線の皮膚に対するダメージが強くなり、皮膚に対して、いろいろな悪い影響を及ぼすようになってきました。その中の一つが皮膚がんです。
日光角化症は、皮膚の一番上の層である表皮に留まる初期の皮膚がんです。顔や手の甲など、紫外線がよく当たる部位に生じます。皮膚の表面がカサカサして紅くなり、かさぶたができるようになります。いわゆる表皮内がんです。この状態では転移する心配はありませんが、何もしないでそのままにしていると、次第に盛り上がってきて、やや硬くなり、悪性の有棘細胞癌になってきます。
有棘細胞癌になると、転移も起こってきます。日光角化症は、素人目には湿疹やシミなどとの区別がつきにくいと思います。少しでも、ご心配のときは、早めに皮膚科を受診してください。
日光角化症の確定診断には、皮膚の一部を切り取って、顕微鏡検査をする必要があります。日光角化症の治療は、以前は切除するか、液体窒素による凍結治療でしたが、最近では確定診断のうえ、イミキモドという塗り薬での治療が行われるようになりました。この薬は、週に3回患部に摺りこんで、8時間後に洗い流し、これを4週間続けます。4週間そのまま様子をみて、不十分な場合に更に4週間塗るという治療です。
それでもダメなら、液体窒素治療、もしくは切除になります。しかし実際の治療に関しては、数、年齢、部位などを考える必要がありますので、主治医とご相談ください。
いずれにせよ、皮膚がんを防ぐには、若いころからの紫外線に対する予防が絶対です。外出時に日焼け止めをしっかり塗ることを心がけてください