兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2023年11月

【月曜】子どもの不登校

 今日お電話いただいている方は、それぞれの立場で悩み、不安を抱えておいでだと思います。

 それにしても不登校って、なんだか辛い言い方に聞こえませんか?不登校はそれ自体が病気というより、何か別の原因の結果だと考えられます。だから治療も、学校に行くことをゴールとしません。

 「結果としての不登校」なら、その原因さえ解決すれば何とかなるはず。そう考えたくなるかもしれませんが、実はこれが落とし穴です。原因がはっきりすることなく良くなっていくケースがほとんどです。

 原因と結果の間にあるその子ども独自の事情を「特性」と呼び、これはとても大切なことです。

 例を挙げましょう。ある生徒は、運動会の練習が嫌で学校に行けなくなり、登校しようとしただけで腹痛を繰り返すようになりました。では、運動会さえなければこの生徒は登校できるようになるでしょうか?悩みはすべて解決するでしょうか?答えはノーです。日常の学校行事を楽しめないという「特性」こそ、理解されるべきその子ども特有の事情です。

 不登校の子どもがいたら、まずはその子への理解が支援の第一歩です。児童精神専門の医療機関の心理検査は「特性」の理解に役立ちます。時には本人さえ気づいていなかった弱点に向き合えることもあります。これを自己理解といいます。

 では、まわりはどうすればいいでしょうか?叱りつけたり、無理やり引っ張って学校に行かせることは、決していい方法ではなく、かえってこじれるだけです。不登校に特効薬はありませんが、どんな病気にも共通して言えることがあります。眠るべき時間に寝て、起きるべき時間に起きる。健康な生活リズムを守ること、これは回復への第一歩です。

 その次は、家族と一緒に朝食を摂ることを目標にしてください。朝起きなくて困ることもありがちですが、「早起きして無理に学校に行けなんて言わないから、朝食は一緒に食べようね」と声をかけ、登校への刺激を与えないようにすることが大事です。そして、その子の回復を信じてあげてください。

 しかし、期待はしないでください。何日も学校から離れて、久しぶりに教室に入るこどもにどれほどの勇気が必要か、想像してください。せっかく勇気を振り絞ったのに、「今日行けたんだから明日も」と期待されると、子どもにはプレッシャーにしかなりません。「今日はたまたま行けただけ、明日もたまたま行けたらいいね」くらいの熱量で見守ってください。

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