2023年12月
【水曜】高血圧の治療
血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力のことをいいます。心臓が血液を送り出すために収縮した時に、血管にかかる圧力は最も高くなります。この時の血圧が収縮期血圧、いわゆる上の血圧です。全身をめぐった血液が心臓に戻る時、心臓は拡張します。この時の血圧を拡張期血圧、いわゆる下の血圧といいます。
高血圧とは血管の壁に過度な圧力がかかり、安静状態での血圧が慢性的に日常より高い状態を言います。
高血圧が続くと血管に負担がかかるため、脳の血管が破裂して脳出血や大動脈解離などを起こしやすくなったり、心臓や腎臓などに悪影響が出ます。このように、高血圧は様々な疾患を引き起こす恐れがありますので、家庭でも日常的に血圧を測定し、コントロールすることが重要です。起床後1時間以内で朝の食事や薬を飲む前に、トイレを済ませ、座って1~2分安静にしてから血圧を測ってみましょう。
自宅で測定した血圧は、上が135以上、または下が85以上の状態が高血圧です。高血圧とは、病院や健診などで測定した血圧はそれより少し高い、上が140以上、または下が90以上の状態のことをいいます。家では低いけれど病院だとすごく高い、あるいはその逆の方もいらっしゃると思います。このような方も将来的に慢性的な高血圧になったり、合併症による病気になりやすいという研究結果もありますので注意が必要です。
血圧を下げる目標の値は、年齢や合併症によって異なります。
家庭での血圧の目標は、75歳未満の方では上が125未満、および下が75未満です。一方、75歳以上の方では、上が135未満、および下が85未満を目安としています。高齢になると血圧低下が内蔵に悪影響を及ぼす可能性もあるため、慎重に治療する必要があります。また、糖尿病や慢性腎臓病の患者さんの目標はより低く、上が125未満、および下が75未満とされています。
高血圧の治療には、薬を使う治療と薬以外の治療を上手に組み合わせる必要があります。薬を使わない治療とは、特に減塩などの食事や運動を心掛け、ストレスを減らすなど生活習慣の改善です。生活習慣の改善だけで、薬が必要でないこともあります。薬を使う場合でも、生活習慣の改善と並行して治療することが重要です。
高血圧は重症になるまでほとんど自覚症状のない疾患であるため、放置されてしまうこともあります。日頃から血圧に注意し、血圧が高ければ医師に相談し治療を受けるようにしましょう。