2023年12月
【月曜】子どもの弱視
弱視とは、何らかの原因で視力の発達が阻まれ、片目または両目の視力が眼鏡をかけても矯正できなくなる低視力のことです。主な原因としては、斜視や近視、遠視、乱視といった強い屈折異常、先天性白内障、先天性眼瞼下垂などが挙げられます。
斜視の場合は、目がずれている、つまり両目が同じ方向に向いていない状態になるので、見た目で分かりやすく発見しやすいです。一方、弱視は、片目の視力が不良でも、もう片方の視力が良ければ子ども本人が生活に不自由を感じないことが多いため、親も気づかないまま、治療のタイミングを逃してしまいがちです。
弱視の原因を理解するために、まず視力がどうやって発達するかを理解しましょう。
人間の目は生まれたばかりの時、明るいか暗いかしかわかりません。その後、体の成長とともに目の機能も成長し、約1ヶ月で物の形、約2ヶ月で色が分かるようになり、約4ヶ月で動く物を追えるようになります。その後、3歳頃になって初めて自覚的に視力を測定できるようになり、6歳頃にはほとんどの子どもが大人と同じ1.0の視力を獲得します。
赤ちゃんの目が視力を獲得するためには、外界からの視覚刺激を絶えず受けることが必要不可欠です。外界からの刺激によって、脳に神経回廊が集中的に作られる時期を「感受性期」と言います。この感受性期は、生後約1ヶ月から上昇し、1歳半頃にピークに達します。その後、8歳頃まで続くと考えられており、この時期に両目に適切な視覚刺激を受けることができないと、視力の発達が止まったり遅れたりすることになります。そのため、裏を返せばこの時期は弱視治療の重要な時期となります。
3歳までに弱視を発見し、適切な治療を受けられれば、視力はかなり回復するので、親御さんはお子さんの視力の発達を気にかけてあげてください。そして、お子さんの目に少しでも心配があれば、必ず眼科を受診するようにしてください。
また、異常を早期発見し適切な治療を受けるために、3歳児検診での視力検査は必ず受けるようにしてください。