2024年1月
【金土日】性同一性障害について
性同一性障害とは、生まれ持った体の性別と自分が心に思う性別が一致しない状態をいいます。男性として生まれたが女性として生きたい、女性として生まれたが男性として生きたいと思うことで、様々な悩みが生じます。子供のころは、反対の性別の子どもと遊ぶのが好きだったり、買い与えられるランドセルの色がいやだったりします。自分の感覚が親や兄弟と違うので、自分がおかしいのではないかと悩んでしまうこともあります。そうやって周囲に悩みを打ち明けられないまま成長し、大人になってからメディアなどで性同一性障害について初めて知るといったケースは珍しくありません。
性同一性障害となる原因は、はっきりわかっておらず、心の性別を変えることはできません。そのため、心の性別で生きていけるよう、体や法律上の性別を心の性別に適合させていくことが対処法となります。身体的な性別を変えていくためには、男性ホルモンや女性ホルモンの薬を使います。必要なホルモンを自分の体内で作ることが出来ないので、何年も継続して治療を受ける必要があります。より大きな変化を求める場合には手術もあります。
性同一性障害の方は、心と身体の性別が一致しないこと以外は、身体的にも精神的にも周囲の人と何も変わりはありません。しかし、日本では性の多様性についての理解や法的な整備がまだまだ進んでいません。学校でのいじめや職場内での差別を受けたり、同性婚が認められていないために、例えば手術の同意書にサインができない、配偶者控除などの社会保障が受けられないといった問題があります。
今、社会で行われている取り組みとしては、トイレであれば男性用、女性用以外にだれでも使えるものを備える、学校の制服であれば、生徒がズボンやスカートを自由に選ぶことができたり、男女共通のデザインにするなどの対応が広がっています。また、県や市が婚姻関係を認めるパートナーシップ制度というものを取り入れる自治体が増えています。法的な効力はありませんが、公営住宅で同居したり、公立病院で病状説明を聞くことが認められるなど、家族対象の行政サービスを受けやすくなります。
性の多様性を認め合うためにどのような取り組みが出来るのか、一人一人が考えていく必要があります。