2024年2月
【火曜】危険な飛蚊症
飛蚊症は名前のように蚊が飛ぶようなものが見えたり、すすや糸くず、輪のような形のものが1個から多数まで様々に見えたりする症状です。その原因により、経過を見ておくだけで良いものから、すぐに対処しなければならないものまで様々です。
飛蚊症は、硝子体という眼球の中を満たしている透明なゼリー状の物体の中にできた浮遊物が透けて見えたり、カメラのフイルムに当たる網膜から硝子体を包んでいる膜が剥がれたりした時に起こります。その原因は大きく5つあります。
① 加齢
最も多い原因です。固形の硝子体が液状になったり、萎縮して網膜から硝子体膜が剥がれたり、濁りを生じるために起こります。ただ、近視が強い方は若くても起こります。
② 先天性
硝子体の中の血管が出生前に消えずに残った場合に、血管のあとが映って見えるために起こることが稀にあります。
③ 網膜剥離
網膜に穴があいたり、網膜が剥がれたりした時に起こります。悪化すると視力が低下したり、見える範囲が欠けてきたり、最悪の場合は失明に至ることもあります。
④ 硝子体出血
糖尿病や動脈硬化による網膜の出血が、硝子体の中に流れ込んだ時に起こります。
⑤ ブドウ膜炎
ブドウ膜という、眼球を包んでいる膜の感染や免疫異常により、硝子体内に濁りができた時に起こります。
飛蚊症になった時には、その原因によって対応が変わります。加齢や先天性の場合は経過を見て、悪化した時に再受診してもらいます。網膜剥離と硝子体出血の場合は、経過によりレーザー網膜光凝固や手術を行います。ブドウ膜炎は注射や点眼、内服などの薬物治療が主になります。多くは経過を見るだけで良いものですが、1日も早く治療したほうが良いものもあるので、念のため眼科で精密検査を受けることをお勧めします。
受診の際は、散瞳検査といって、点眼薬で瞳を開き網膜の周辺まで検査をすることが多くなります。検査後に目がかすむ、まぶしくなるために、車の運転などは6時間程避けてもらうことがあります。そのつもりで受診するようにしてください。
飛蚊症は加齢と共によく見られる症状ですが、様子を見ておいてよいものかどうか、自己判断せずに眼科を受診し、原因に応じた対応をするようお勧めします。