2024年2月
【月曜】耳が詰まる耳管狭窄症
耳管狭窄症をお話する前に耳管の働きについてご説明します。
まず耳の構造ですが、耳は外耳、中耳、内耳に分類されます。中耳は耳管と呼ばれる管を介して鼻と繋がっています。
耳管は中耳の空気の量を調整する役割を持っています。これを中耳圧といいます。耳管は普段閉じていますが、唾を飲んだりあくびをしたりすると耳管が開き中耳圧を大気圧と等しくします。耳管の機能が低下していると滲出性中耳炎や真珠腫性中耳炎など別の耳の病気になる場合があります。
何らかの原因で、この耳管が狭くなったり、開きにくくなったりする疾患が耳管狭窄症です。元々耳管の機能が弱い方もいらっしゃいます。
耳管狭窄症の症状は耳が詰まる、トンネルに入った時の状態と表現される方が多いです。
原因で多いものは風邪や副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症に続いて起こるものです。風邪や副鼻腔炎になると、耳管の周囲も炎症でむくむため耳管が狭くなり、耳管狭窄症の症状が出現します。これは風邪や副鼻腔炎の治療により改善します。鼻の治療と並行して、鼻の奥から中耳に直接空気を送り込む通気と呼ばれる治療も行うことがあります。いずれの治療も効果が無く症状が辛い場合は、鼓膜を切開しチューブを留置することがあります。チューブを入れることで中耳圧が大気圧と等しくなるため、耳管狭窄症の症状は軽快します。
稀ではありますが、腫瘍が耳管の鼻側の出口を塞ぐことで耳管狭窄症が生じる場合があります。上咽頭腫瘍と呼ばれるもので、風邪や副鼻腔炎と違い経過が長く少しずつ悪化します。通常、上咽頭腫瘍は鼻にカメラを入れて鼻の奥まで十分に観察しないと見えない場所にできます。見落としてはいけない病気であるため、耳詰まり感を訴える患者さんは、初診時にカメラで確認することが多いです。
その他に、最近では胃酸により耳管狭窄症が生じることも分かっています。
耳管狭窄症の診断には耳の中の詳細な診察と検査が必要です。原因が分かれば、対応もすぐにできるため、耳詰まり感がある方は早めの耳鼻咽喉科受診をお勧めします。