2024年4月
【金曜】トコジラミ(南京虫)
ここ数年、フランスや韓国でトコジラミが蔓延し、問題になっています。しかし、この2か国のみならず、新型コロナ感染症が5類になり、海外からの旅行者が増加して以後、日本でもトコジラミによる虫刺されが増えています。
トコジラミはシラミの仲間ではなく、カメムシの仲間です。昔は「南京虫」といって、戦時中には爆発的に蔓延しましたが、DDTなどの殺虫剤により、かなり減っていました。その後これらの殺虫剤が販売中止になり、また増えてきました。
トコジラミは、昼間は部屋の壁や柱の割れ目、ベッドの隙間などに潜んでいて、夜になると就寝中の人から血を吸って、唾液腺から出る物質を皮膚に送り込んで、アレルギー反応を起こします。このアレルギー反応が成立する日数はさまざまですが、刺されてすぐには症状が現れず、多くは2~3日後に非常に痒い発疹が出てきます。人によっては、1~2週間後に症状が出てくることもあります。発疹が狭い範囲に集中していることもあり、これはトコジラミが刺し口を何回でも差し替えているからと考えられています。
たとえ高級ホテルでも、日本中の宿泊施設にトコジラミが潜んでいます。旅行者のトランクなどに潜んでおり、夜に這い出して、宿泊施設に住み着き、卵を産んで増えていきます。
虫刺されの発疹をみても、この虫を特定することは難しいです。ただ、夜に起きて、5㎜くらいのこの虫を見つけることは、不可能ではありません。皮膚科に持ち込んでもらえれば、特定できます。治療はステロイドの軟膏と、痒みの強い場合には飲み薬を処方してもらってください。
トコジラミの駆除には吹き付けるタイプの噴霧剤がありますが、家に住み着いた場合には、専門業者による駆除が必要なので、市町村の役所にご相談ください。