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健康情報テレホンサービス

2024年5月

【金曜】糖尿病の運動療法

 糖尿病治療は運動療法、食事療法、薬物療法の三本柱です。今日はそのうちの1つ、運動療法についてお話しします。

 運動の効果は、血糖値をさげる事だけではなく、肥満やストレスの解消、糖尿病合併症の予防、心臓、肺、筋肉、骨を強くする事で老化防止にもなります。

 その反面、薬物治療中の方は低血糖を引き起こす原因になることもあり、また合併症のある方は悪化させてしまう場合もありますので、 運動療法を始める前には必ず主治医と相談してください。最も効果的な運動は、酸素を十分に取り入れて行う中程度の強さの運動、いわゆる「有酸素運動」です。

 具体的には、ウォーキング、ゆっくりめのジョギング、サイクリング、水泳などです。

 有酸素運動のイメージは、ウォーキングの場合、多少息切れはするけれど人と話しながら続けられる程度の運動です。息切れで会話ができない状態は運動の強度が強すぎます。

 有酸素運動を15分以上続けると、体の酸素消費量が増え、血糖だけでなく、脂肪もエネルギー源として使うようになるため、体重減少効果も期待できます。そのため、運動は15分~20分は続ける事が効果を高める秘訣です。

 運動をするタイミングは食後1~2時間が最適です。この時間帯が血糖値が最も高くなる時間帯だからです。しかし、この時間帯でなくとも、早朝や深夜、食事の直後でなければいつやっても問題はありません。ただし、薬物療法中の方は低血糖になる可能性がありますので、運動をするタイミングは主治医と必ず相談しましょう。

 運動の効果は翌日まで持続しますので、毎日続ける事ができなくても問題ありません。体調や天候が悪い時には休んだり、1日おきにしても効果は十分にあります。無理して毎日続けるよりも、無理のない範囲で長く続けるほうが重要です。買い物、犬の散歩、掃除などの日常生活の中で取り入れると続けやすいです。

 運動の効果は、体調がよくなったり、体を動かす事や気分が楽になったという自覚症状や、血糖値や体重などの数値の変化で判定します。疲労感が残ったり、膝や腰の痛みなどが生じた場合は不適切な部分があるはずですので、必ず運動の内容を再検討してください。

 運動のやりすぎや合併症の状態を知らずに運動を続けていて、病状を悪化させたりすることがないように、定期的に主治医のチェックを受けて、アドバイスをもらいましょう。

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