2024年5月
【月曜】視神経炎
視神経とは、目で見た情報を脳に伝える神経線維の集まりで、目と脳をつなぐ電気コードのような役割をするものです。
視神経炎は、この視神経に炎症が起きる病気です。
症状としては、片目または両目の視力が急激に悪くなる「視力低下」、視野の真ん中が見えなくなったり、視野の一部が欠ける「視野欠損」、目を動かすと目や目の奥が痛む「眼球運動痛」などが挙げられます。
原因は、多発性硬化症や視神経脊髄炎などの免疫の異常や、自分の抗体が原因のもの、その他にも感染症など様々ありますが、原因がはっきりしないものが最も多いとされています。
検査としては、視力検査や視野検査、眼底検査といった目の状態を調べる検査と、脳のMRI検査、採血検査などの全身を調べる検査を行います。
視力検査では、視力低下を確認します。視野検査では、視野の真ん中が見えなくなる、上半分または下半分が見えなくなる、など特徴的な視野の異常がみられることがあります。眼底検査では、視神経の腫れや色などを確認します。脳のMRI検査では、視神経の炎症や、脳の異常がないかを調べます。採血検査では、感染症や、特殊な自己抗体などがないかを調べ、原因を探ります。
治療は、視神経炎の原因によりかわってきます。免疫の異常や自分の抗体が原因の場合には、ステロイドの大量点滴を行います。また、さまざまな検査をしても原因不明の場合は、数か月間の経過観察のみで症状がよくなることもあります。
視神経炎は一般的によくある病気というわけではありませんが、原因となる病気がいくつかあり、その経過も異なります。きちんと検査をして原因を見極めるとともに、適切なタイミングで治療を行うことが重要です。
視神経炎に限らず、視力が急に悪くなって見えにくくなった場合には、他の病気の可能性もありますので、早めにお近くの眼科を受診しましょう。