2024年6月
【木曜】喉頭がん、舌がん
喉頭は、首のほぼ真ん中、いわゆるのど仏の部分にあり、鼻や口から入った空気はこの喉頭を通って気管、気管支、肺に広がっていきます。
喉頭のはたらきは主に3つあり、1つは声を出すことで、2つめは空気が通る道としての役割、3つめは空気が肺に行き着くまでの保護です。
日本の喉頭がんの罹患率は人口10万人あたり約3人です。喉頭がん患者の96%は喫煙者です。タバコが関連している代表的ながんの一つで「喫煙さえしなければよい」という最も予防しやすいがんです。仮にこの世からタバコがなくなれば理論的には、喉頭がんは約30分の1に激減することとなります。
喉頭がんの男女比は10:1と圧倒的に男性に多いがんです。しかし非喫煙者では1:1と性差がなくなることから、喫煙習慣を主とした男性的生活習慣の影響が強いと考えられています。
喉頭がんの代表的な症状は声枯れと、のどのイガイガ感です。癌が進行すると、血痰やものを飲み込むときの痛みが出現するようになり、さらに進行すると呼吸の際ゼイゼイ、ヒュウヒュウという症状や呼吸困難が伴うようになってきます。
診断は喉頭鏡検査や喉頭内視鏡検査にて観察することで確認することができます。
次に舌がんは、口腔内に発生するがんの約90%を占め、舌がん患者の男女比は約2:1と男性に多くみられます。50代後半にかかる人が最も多いですが、若い人にも発生するがんです。原因はまだ明らかではありませんが、アルコールやタバコなどの化学的な刺激であったり、とがった歯や虫歯、歯が当たることによる機械的な刺激などが引き金と考えられています。
舌は自分で見ることができるためか、約2/3は初期の状態で受診されます。舌の裏側は自分では見にくく症状も出現しにくいため、進行した状態で受診される方も少なくありません。症状は、舌にできるしこりです。初期は小さな口内炎のようにも見え、白い部分を伴うこともあります。進行すると大きくなり、硬く触れるようになり、へこみを伴い持続する痛みが出てきます。
診断の方法は、喉頭がん舌がんともに、その部位を小さく切り取って、病理組織検査により診断を確定します。治療には、発声や発音、飲み込みなどの本来の機能を温存しながら、病気の根本治療を図ることが求められます。
治療は、主に手術療法と放射線治療があり、レーザーを用いる施設もあります。また病気の進行に合わせて、抗がん剤による化学療法もこれらの治療との組み合わせで行われることがあります。
風邪でもないのに声枯れが続いたり、舌の痛みやしこりのある場合には、耳鼻咽喉科を一度受診されることをおすすめします。