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健康情報テレホンサービス

2024年6月

【水曜】心房細動

 心房細動とは、不整脈の一種です。

 正常な心臓は、心房から心室へと一定のリズムで電気信号が流れており、心房、心室の順に規則正しく動いています。

 一方、この電気信号が乱れ、心房内で無秩序に電気信号が発生すると、心房は小刻みに震え、脈拍は不規則に乱れてしまいます。この状態を「心房細動」といいます。

 症状は様々で、「ドキドキする」、「胸が苦しい」、「息が切れる」などの事もありますが、半数の方は全く無症状です。

 心房細動は、慢性的に続くタイプや、数分で治まるタイプがありますが、すぐに治まったからといって放置して良い訳ではありません。むしろすぐ治まるタイプの方が重篤な合併症が起きやすくなることもあります。

 最も問題となるのが脳梗塞の合併です。心房細動では、心臓の中で血栓という血のかたまりが出来ることがあり、これが脳の血管に飛んでいくと脳梗塞になります。麻痺などの重い後遺症が残る可能性があり、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。

 診断は、心電図で心房細動を捉えることです。ただし検査中に心房細動が起こっていないと診断出来ないため、24時間記録可能なホルター心電図で調べることもあります。それでも発作が捉えられない場合には、最近では「心電図機能付きスマートウォッチ」や「発作時携帯心電図」が販売されており、診断に大変役立つようになっています。

 治療で最も重要なのは、脳梗塞の予防です。リスクの高い方は、血液をサラサラにする「抗凝固薬」を内服して、脳梗塞を予防します。

 それ以外に、心拍数を抑えたり、発作が起こらないようにする薬を使うこともあります。ただ、飲み薬だけで完全に抑えられないこともあり、「カテーテルアブレーション」という、原因となる部位を焼灼する手術を行うこともあります。通常の手術とは違い、身体への負担が少なく、短期間での入院で済むため、多く選択されている治療です。手術で心房細動が根治できれば、服薬の中止も出来るようになるかも知れません。

 心房細動は脳梗塞のリスクがあり、放置すると大変危険な不整脈です。早期発見、早期治療が大事です。ご自分でも手首の脈を触れ、脈に乱れがないか日頃から確認する習慣をつけておくと良いでしょう。気になれば「心電図機能付きスマートウォッチ」を購入してみても良いかも知れません。少しでもおかしいと思えば、かかりつけの主治医や近くの病院でご相談するようにして下さい。

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