2024年6月
【火曜】前立腺炎
さて、そもそも「前立腺」とはなんでしょう?「前立腺」は男性にしかなく、精液の成分を作っているクルミのような形の臓器です。尿をためておく「膀胱」の出口にあり、「尿道」を取り囲むように存在します。
「前立腺炎」はいくつかのタイプに分けられ、タイプによって症状や治療法が微妙に異なりますので、順を追って説明します。
「急性前立腺炎」は、細菌が尿道から入ったり血液の流れに乗ったりして、前立腺まで到達し感染することで起こる病気です。男性で比較的急に「排尿時痛」、「頻尿」、「排尿困難」、「残尿感」などの症状が出た場合、「急性前立腺炎」の可能性が高いです。「発熱」を伴うこともあります。治療の基本は原因となっている細菌に対する抗生剤投与です。軽症の場合は抗生剤の飲み薬を内服しますが、重症の場合は入院して抗生剤の点滴が必要となることもあります。
次に「慢性前立腺炎」は、「残尿感」や「陰嚢痛」、「そけい部痛」、「会陰部痛」、「下腹部痛」など、下半身のさまざまな部位に痛みや痺れなど不快な症状が出ます。原因によりさらに2つのタイプにわかれます。
ひとつは、細菌が「前立腺」に感染することが原因となるタイプです。これを「慢性細菌性前立腺炎」と呼びます。抗生剤や漢方薬、前立腺の炎症を和らげる薬などで治療します。
もうひとつのタイプは、骨盤内の血液のめぐりが悪くなることで、「前立腺」に炎症が起こって発症します。細菌感染以外の原因で起こるため、「慢性非細菌性前立腺炎」と言います。長時間の座り仕事や、精神的なストレスが原因で発症することがあります。実は、この「慢性非細菌性前立腺炎」が「前立腺炎」の中でも多いと言われます。前立腺の炎症を和らげる飲み薬や漢方薬がよく効くことがあります。ただし、薬で治りにくいことも多く、その場合は前立腺マッサージや鎮痛剤、抗不安薬なども組み合わせながら根気よくさまざまな治療を試していく必要があります。
「前立腺炎」はつらい症状が出ますが、治療によって治る病気です。あてはまる症状が出た場合、お近くの泌尿器科を早めに受診しましょう。