2024年8月
【水曜】甲状腺眼症
甲状腺眼症は、バセドウ病や橋本病など、甲状腺の病気に関連して起こる眼の病気です。瞼や眼球の筋肉に炎症が起こり、筋肉とその周りが腫れてしまうことで、様々な症状が引き起こされます。
例えば瞼の筋肉に炎症が起きると、瞼が腫れ、瞼をうまく動かすことができなくなります。その結果、眼が大きく見開かれたり、寝ている間に眼が開いたままになったりします。
眼球の筋肉に炎症が起きると、眼球がうまく動かせなくなったり、眼球が前に押し出されたりします。その結果、物が二重に見える複視、眼球突出、視力低下などの深刻な症状に繋がります。
診断では、MRIやCTという検査で、炎症の範囲や強さを調べることもあります。
症状に炎症が関係している場合は、まず炎症を抑え込むことが大切です。炎症を抑え込む治療には、ステロイド剤の注射、ステロイド剤の点滴、放射線治療などがあります。
ただ、炎症を抑え込むことに成功しても、症状が残る場合が少なくありません。その場合は、症状を軽くするための手術を行います。瞼には、腫れを治すための手術や、上がり過ぎている瞼を下げる手術などがあります。他に、物が二重に見える場合の斜視の手術や、突出した眼球を戻す手術などもあります。どのような手術も、特殊な場合を除けば、炎症が収まってから行わなければなりません。そのため、まずしっかりと検査を受け、炎症についてよく調べることが大切です。
原因になっている炎症を抑えることが、治療の近道です。病状の悪化を防ぐことに繋がりますし、必要な手術を早く受けられることにも繋がります。
炎症は放置すると、収まるまでに長い時間が必要となり、症状も戻りにくくなります。もしもこのような症状がある場合は、早めに医療機関を受診して下さい。