2024年9月
【水曜】あなたも骨粗鬆症かも?
骨粗鬆症は、骨の強さの低下によって、わずかな外からの力でも骨折を起こしやすくなる病気です。日本で1000万人以上と推定されており、健康寿命を障害する非常に重要な病気です。
大腿骨の骨折や、背骨の骨折を起こすことが多く、これらの骨折で日常生活が困難になったり、寝たきりになったりします。また、転んだ時に手首や腕の骨が簡単に折れることもあります。
原因は、年をとることや、女性では、閉経後の女性ホルモンの減少があります。生活習慣とも密接にかかわり、生活習慣病の一つとされています。カルシウムやビタミンDの摂取不足、無理なダイエットも原因となります。運動不足やタバコ、アルコールの飲み過ぎも大きな要因です。
他に原因となる病気のない場合は「原発性骨粗鬆症」と言います。これに対して、ステロイドなどの薬剤や、糖尿病やホルモンの病気などが原因となる場合は「続発性骨粗鬆症」と言います。続発性の場合は、原因疾患の治療が大切です。
骨粗鬆症の診断は、まずは診察、そして背骨のX線検査や骨密度測定などを行います。
骨密度測定の方法は、DXA(デキサ)法という専用の装置が必要な検査と、X線で簡易に測定できる検査と、超音波を使った検査という主に3つの方法があります。
骨が弱くなって骨折した場合、特に背骨や太ももの骨折では、すぐに骨粗鬆症と診断がつきます。そういった骨折がない場合は、骨密度測定で、若い人の70%以下の骨量という値であれば、骨粗鬆症と診断されます。
全身の骨は、骨が壊れる過程である「骨吸収」と、骨が作られる過程である「骨形成」が絶えず繰り返されています。そのため骨粗鬆症の治療薬は、骨形成を助けるものと、骨吸収を抑えるものに分けられます。
現在のところ、骨形成を助ける薬は副甲状腺ホルモン薬のみです。この薬には高い効果があります。その他の治療薬はすべて、骨吸収を抑える薬です。ビスホスホネート薬、SERM(サーム)製剤・活性型ビタミンD薬など、いずれも骨折を減らす効果が認められています。
なお最近は、服薬間隔の長い内服薬や、間隔の長い注射薬など、便利な製剤も出ています。
治療薬の選択や、治療効果の判定のため、骨代謝マーカーの検査が重要です。骨吸収と骨形成について、血液や尿で検査することができます。
将来、骨粗鬆症にならないためには、若いうちからのしっかりした食習慣と、適度に運動する習慣がなによりも大切です。