2024年11月
【月曜】逆まつ毛の一種・睫毛内反
睫毛内反とは、いわゆる逆まつ毛の一種です。一般的に逆まつ毛と言われるものの中には、まつ毛が眼球に向かって生えている睫毛内反、まぶたが内側に回転してしまい眼球にまつ毛が当たる眼瞼内反、まつ毛が本来生える場所とは違う場所から生える睫毛乱生などがあります。今回は睫毛内反について解説します。
まぶたには穿通枝と呼ばれる、上まぶたにおける二重を形成している組織が存在します。穿通枝の形成が弱いと、本来は前を向くはずのまつ毛が立った状態で生えてしまい眼球に接触してしまいます。また、皮膚や皮下の筋肉が厚いとまぶたのきわを押してしまいまつ毛が眼球に接触してしまいます。まつ毛と眼球が接触していると眼球に傷をつけてしまい、痛みが出たり乱視が強く出ることがあります。その他には涙が出る、目をこする、まぶしいなどの症状が出ることもあります。
睫毛内反はほとんどが生まれつきの病気で、0歳児の50%に認められるとされています。小さい頃はまつ毛がまだ柔らかく、症状を引き起こすことはあまりありません。また、顔の成長に伴い9歳までに自然治癒する傾向にあります。10歳以上で睫毛内反が残っている場合は、自然治癒は期待しにくくなります。
痛みなどに対する対症療法として点眼をすることがありますが、根本的な治療方法は手術になります。手術方法も様々なものがあり、大きく分けると埋没法と皮膚切開法があります。埋没法は小さな傷で、短時間で手術が終了しますが、再発率が比較的高いとされています。皮膚切開法は傷は大きくなり手術に数十分要しますが、再発率は低くなります。
症状が軽度であれば10歳ごろまで様子をみてよいですが、傷や乱視の影響で視力の発達が悪い弱視の場合は早期に手術を行うべきです。睫毛内反の約10%に弱視を生じるとされています。視力の発達は8歳までに完了するとされているので、弱視の場合はできるだけ早期に手術や弱視治療を始める必要があります。
生まれつきのもののほかに、病気などが原因で睫毛内反になることがあります。代表的なものとして、甲状腺異常に合併して起こる甲状腺眼症や、美容手術が原因で起こる場合もがあります。
気になる症状がある場合は眼科受診をするようにしましょう。