2024年12月
【木曜】急性中耳炎
急性中耳炎は子供に多い病気です。治療しないで放置すると鼓膜に穴があいたままになり、慢性中耳炎になることがありえます。中耳炎を起こす細菌は鼻から耳への通路にあたる耳管の入り口から入ってきますが、風邪をひいて鼻水が出るときに鼻をすすったりするとこの入口から細菌が耳へ侵入して急性中耳炎を起こします。
3歳を過ぎると感染に対する抵抗力ができ、簡単には中耳炎にならなくなってきますが、成人に比べて子供の耳管はまっすぐで短いため6歳までは急性中耳炎が決して少なくありません。鼻をかむ時には片方の鼻の孔を抑えて片方ずつ交互に無理に力を入れないようにしてかむことを指導することが予防のためには大切です。
急性中耳炎の症状は耳の痛み・耳がつまった感じ・発熱が主体ですが、鼓膜の内側に膿がたまって鼓膜がさけると耳だれを生じます。耳だれが出てしまうと痛みがなくなり、熱も下がってしまうので、治ったと勘違いして放置してしまう人がいますが、鼓膜に穴が開いたままになってしまうこともありえます。必ず耳鼻咽喉科に受診して完全に治ったことを確認してください。
また鼓膜に穴を残すことなく治っても鼓膜の内側に粘液が残った状態で聴こえが悪くなる滲出性中耳炎という病気に移行することがあります。これは鼻の炎症が長引くために起こる病気で、すぐに治る病気ととらえず一定期間通院して薬の内服と処置をする必要があります。
急性中耳炎の段階では症状が軽い場合は必ずしも抗生物質を内服しなくても治ることもありますが、38度以上の発熱や耳だれがある場合は抗生物質の内服が必要になり、特に耳だれの場合は耳の中を抗生物質の点耳薬で洗浄する必要があります。いずれにしても耳鼻咽喉科を受診し、耳の中を医師にしっかり診察してもらって完全に治癒したこと、聴力も回復したことを確認することが大切です。
概ね6歳以上で聴力検査ができるくらいの年齢に達している人は検査を受けて改善を確認することをお勧めします。地域によっては耳鼻咽喉科が少なく遠くまで受診いただかねばならないこともありますが、インターネットなどで情報を得て計画的に対応してください。