2024年12月
【月曜】女性の腫瘍に多い子宮筋腫
子宮は女性の下腹部にあり洋梨をさかさまにしたような形の袋状の臓器です。骨盤のほぼ 真ん中に位置して、膀胱と直腸の間にあります。成人女性の子宮はとりの卵くらいの大きさで、20代、30代が一番大きいです。重さは約40~50グラム。長さは7~9センチ、幅は4センチほどです。胎児を育てる部屋です。子宮は、内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜(しょうまく)と3つの層からなっています。本日は、この筋層、漿膜にできる良性腫瘍の子宮筋腫についてお話いたします。
子宮筋腫は珍しくない腫瘍です。子宮筋腫は、30歳以上の女性の20%~30%、35歳以上の40%~50%にあると言われており、成人女性の4人に1人に見られる、女性ではもっとも頻度の高い良性の腫瘍です。
おもな症状は、月経量が多くなることと月経痛です。その他に月経以外の出血、腰痛、頻尿(トイレが近い)などがあります。また、筋腫の出来ている場所によっては妊娠しにくかったり、妊娠しても流産の原因になることもあります。
診断は婦人科診察と超音波検査で行います。大きな筋腫や手術を考える場合にはMRI検査をすることもあります。大きな筋腫は悪性の子宮肉腫との区別が難しいことがあります。子宮筋腫の原因について、現時点では子宮筋層内のいろんな細胞に分化できる細胞、すなわち幹細胞に生じる遺伝子の異常や変化ではないかとされています。遺伝子の異常による疾患といっても、遺伝性の病気ではありません。
子宮筋腫が小さくて、無症状の場合は治療の必要はありません。治療法には手術と薬があります。手術では子宮を取ってしまう子宮全摘術と筋腫だけ取る手術(筋腫核出術)があります。将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫だけ取る手術を行います。しかし、この手術では、直接見てもわからないような小さい筋腫が取り残される可能性があり、数年後に子宮筋腫が再発してくることがあります。
最近、腹腔鏡による手術もあります。おなかに小さな穴をあけ腹腔鏡を使って行う手術です。各施設で行われています。大きさや発生した場所によって腹腔鏡での手術が難しい筋腫もあります。
最後に、美容のための俗にいうプラセンタ注射は筋腫を増大させるという話を耳にしますが、この注射は女性ホルモンを増やすことはありませんので、何の問題もありません。