2025年1月
【金土日】シックハウス症候群
シックハウス症候群とは、ご自宅もしくは職場において建物内の空気が何らかの物質で汚染され、それが原因となって生じるいろいろな症状の総称です。医学的に確立された単一の疾患ではなく複数の原因や症状を広く総称したものです。海外でビルの中にいる人が同時期に体の不調を起こし社会問題となりました。省エネルギー対策の観点から空調システムの運転が抑制されたため換気が不足し室内空気が汚染されたことが原因の一つと考えられ、シックビル症候群と呼ばれました。シックハウス症候群はシックビル症候群から転じた和製造語です。
建物、転居、新しい備品の使用が発症のきっかけとなり、特定の場所、建物内で症状が出現します。問題になった場所、物から離れると症状が消失、または、軽くなります。
症状として、倦怠感、眩暈、咽頭違和感や痛み、頭痛、目のチカチカ、充血、涙目、じんま疹、湿疹、せき、呼吸困難、下痢、吐き気、不整脈など人によって様々な症状が見られます。
発生要因として、①揮発性化学物質による化学的要因、②真菌、細菌、ダニ、ペットなどの生物学的要因、③温度・湿度が上昇することで不快感が増したり、真菌やダニが生育しやすくなる環境要因、④粉塵の4つがありますが、これらの要因より認められた症状から中毒、アレルギーなどと共通な点があり疾患との区別が必要です。
なお、「クロルピリホス」「ホルムアルデヒド」といったシックハウス症候群を引き起こす原因とされている化学物質は国の規制を受けており、大気中の化学物質を測定する検査も確立されています。
しかし、心理的な要因も含めて色々な要因が影響しており客観的に評価することが難しく、いまだに、メカニズム、診断方法が確立、解明されているとは言えない状況です。症状が多岐にわたっており的確な治療が受けられず苦しんでいる人は多くいます。
シックハウス症候群かもしれないと感じたら、『アレルギー科』、『内科』、そして、症状が出ている科の『耳鼻咽喉科』、『皮膚科』などを受診し、専門医に相談しましょう。治療は保険が適応されています。このシックハウス症候群が疑われた場合はの対策として、室内の環境・空気の状況を把握すること、原因と考えられる物質を測定し、発生源を除去すること、そして、換気が重要です。