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2025年1月

【木曜】痔の日帰り手術

 痔疾患と一言で言っても、痔の病気には3つのタイプがあります。

 まず血管のコブである痔核です。これが1番多く、ひどくなると肛門の外へ飛び出してきます。次に便が出るときに痛みがひどい切れ痔です。もう一つは肛門のまわりに穴が開いて汁が出る穴痔、これは痔瘻とよびます。

 これら三大痔疾患のうち日帰り手術が一番行われるのは痔核です。痔核のコブを局所麻酔を行い切除します。もしくは、紐で痔核を強く縛り、痔核組織を腐らして落とす方法もあります。また、以前は薬剤により痔核を腐らす治療などもありました。

 最近1番行われている痔核の手術はアルタ療法です。15年ほど前から開発、使用されているもので、腫れた痔を肛門鏡で見ながら薬液を数か所に注射します。10分前後で手術は終わり、1~2時間ベッドで休めば帰宅できます。自宅でシャワーをあびても問題ありません。術後の痛みもほとんどありません。

 かなりひどく飛び出す痔核も切除せずに治癒します。昔であれば腰から麻酔をして痔核を切除し、1週間から2週間の入院生活を必要としていましたが、そういった治療は近年なくなりました。画期的な痔核治療です。

 肛門専門医の診察を受け注射療法の適応になるかを判断してもらうことが大切です。ひどく脱出する痔にも、まず注射療法を行い、半年ほど経過をみて、必要なら局所麻酔をしての部分切除をするやり方もあります。最初から大きく切除するよりずっと楽に済みます。入院も短期間です。肛門疾患をよく診察している専門医での加療を勧めます。

 痔瘻に対しては局所麻酔を行い、ゴムひもを痔瘻のトンネルに通し、時間をかけてゴムひもを縛っておいて組織を切断する方法、シートン法があります。ゴム紐を通すのは日帰りで出来ますが、数週間、数か月をかけて紐を縛って行きトンネルを切断します。ゴム紐の不快感を訴え来院する方は多いです。肛門裂傷は一般的には腰椎麻酔をしての入院手術が安全です。

 以上、痔疾患の日帰り手術について述べました。日帰り手術は痔核に対してのものが最も多いです。

 肛門からの出血は念のため大腸検査を受けて下さい。大腸癌が隠れているかも知れません。

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