2025年1月
【水曜】過敏性肺炎
過敏性肺炎は、肺の小さな空気の袋(肺胞)や細い気道(細気管支)に炎症が生じる病気です。これは、細菌やウイルスによる肺炎ではなく、特定の物質に対するアレルギー反応によって引き起こされます。これらの特定の物質は「抗原」と呼ばれ、主に有機物の粉塵や化学物質が原因となります。
過敏性肺炎の症状には、息切れ、咳、発熱があり、特に痰を伴わない乾いた咳が特徴的です。抗原を避けることで多くの場合、症状は改善しますが、長期間抗原にさらされると炎症が慢性化し、肺が硬くなることがあります。この病気は主に30代~50代に多く見られ、春から秋、特に夏に発症することが多いです。
過敏性肺炎を引き起こす抗原には次のようなものがあります。
1つ目はカビ、特にトリコスポロンがよく知られています。2つ目は細菌。特定の細菌もアレルギー反応の原因になります。3つ目は鳥類の排泄物。排泄物に含まれるタンパク質がアレルギーを引き起こすことがあります。4つ目はキノコの胞子、5つ目は化学物質です。車の塗装でも使用されるイソシアネートなどが原因となることが多いです。
これらの抗原に反応するリンパ球が肺内で増加し、炎症を引き起こします。これにより酸素の取り込みが低下し、咳が誘発されると考えられています。
診断には胸部エックス線やCTスキャンが用いられ、スリガラス陰影と呼ばれる淡い陰影が見られることがあります。また、血液中で抗原に対する抗体が検出されることもあります。一旦入院して症状が改善しても、自宅や職場に戻って抗原に再度さらされると、症状が悪化することが特徴です。
軽度の過敏性肺炎の場合、抗原を避けることで症状が改善することが多いですが、重症化すると酸素吸入やステロイド薬が必要になります。再発を防ぐためには、環境を整えることが重要です。転居や大掃除、転職などが効果的とされています。
長期間抗原にさらされることで、過敏性肺炎は慢性化する可能性があります。この状態になると、完全な回復が難しく、適切な治療をしないと呼吸不全が進行する恐れもあります。
過敏性肺炎は特定の物質によるアレルギー反応による炎症で、早期の診断と抗原の回避が重要です。症状が疑わしい場合は、専門医に相談することをお勧めします。