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健康情報テレホンサービス

2025年1月

【火曜】あごのトラブル 顎関節症

 顎関節症とは、口を開ける際にあごの関節、顎関節や咀嚼筋(そしゃくきん)の痛みを感じたり、関節音がしたりする顎の関節や筋肉の症状です。これら症状のうち少なくとも1つ以上の症状があれば顎関節症と診断されます。

 医療機関に来院される患者さんは女性が多く、年齢では10歳後半から症状を訴える方が増加しますが、20歳~30歳が最も多く、年齢が上がっていくにつれて来院される患者さんは減少します。

 命に関わることや日常生活に著しい障害が出るような病気ではありませんが、生活の質を高めるために少しでも気になる方には治療を推奨します。適切な診察や検査を受け、歯科医師による標準的な治療や自己管理を行うことで、快方に向かう方がほとんどです。

 顎関節症の症状としては、以下のようなものがあります。口を大きく開こうとすると、顎関節に痛みが生じる、顎関節痛、咀嚼筋痛。口を開けようとしても開くことがむずかしくなる、開口障害。顎を動かすと音がなる、顎関節雑音です。

 顎関節症の原因は、「ストレスによる食いしばり」「歯並びによるかみ合わせの悪さ」「外傷」などが挙げられます。しかし、顎関節症の原因は1つに絞ることができず、色んな原因であるということが一般的に考えられています。

 原因を知ることが治療への近道であり、歯科医師と患者さんがともに原因を理解することでスムーズな治療を行うことが大切です。

 顎関節症の治療方法は確定されておらず、歯科医院によって治療方法は異なりますが、主に次の6つが挙げられます。

 はじめに、「スプリント療法」があります。就寝中にマウスピースを装着することで顎関節の変化を起こし、歯ぎしりや食いしばりを改善・負担の軽減を目指す治療方法です。マウスピースは患者さんに合わせて製作します。

 次に、「運動療法」。開口訓練とも呼び、ずれてしまった関節円板(かんせつえんばん)を元に戻すような運動を行ったり、顎周りの筋肉のストレッチを行い、口を開けられる量を増やしたりする治療方法です。

 3つ目に、「ボトックス治療」。歯茎の脇にある咬筋という筋肉にボトックスを注入することにより、肥大した筋肉を小さくし、食いしばりなどを軽減させることができます。

 4つ目に、「心身医学療法」。顎関節症はストレスによるものもあるため、ストレスの原因を取り除く、もしくは軽減する必要があります。

 5つ目に、「理学療法」。顎周辺の筋肉の緊張を、電気を流したり、マッサージをしたりすることで改善を目指します。筋肉をほぐして血流を改善し、痛みを軽減します。

 最後に、「薬物療法」。薬で顎の痛みを緩和する治療方法です。筋肉の緊張が強い場合に薬を用いることがあります。

 症状が軽減されるまでの期間は患者さんの状況によって異なるため、一概に決まった治療期間はありません。患者さんの自己管理(セルフケア)も治療において重要なため、なるべく早く症状が軽減されるには患者さんの協力も不可欠です。

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