2025年1月
【月曜】子どもの冬の感染症
子どもの冬の代表的な感染症には「ウイルス性胃腸炎」「インフルエンザ」「RSウイルス感染症」が挙げられます。
ウイルス性胃腸炎はノロウイルスやロタウイルスが有名ですが、ロタウイルスは予防接種が定期化され、感染する子どもは少なくなってきました。また経口補水液の上手な摂取で重症度が抑えられるようになっています。
インフルエンザは予防接種や抗インフルエンザ薬がありますが、まだまだ流行を抑えることができたとは言えません。本年度は鼻に噴霧する生ワクチンが認可され、この効果が期待されています。
RSウイルス感染症はこれらの中でも一番入院患者も多く、重要な感染症です。最近は冬のみならず夏でも流行があり、冬独特の感染症ではなくなりつつありますが、やはり冬に多い厄介な感染症です。
最近やっとRSウイルスの予防接種も開発され、高齢者や妊婦に接種できるようになりました。妊婦に接種することにより抗体ができ、その抗体が胎盤を通して胎児に移行して乳児早期の感染に備えるという考え方です。
早産児や先天性心疾患の子どもはRSウイルス感染症で重症化するリスクが高いので、従来より重症化抑制のための注射(モノクローナル抗体)を定期的に注射していました。最近持続の長い製剤が開発され、基礎疾患のない乳児に接種するという考えも出てきています。基礎疾患が無くても重症化することがあるので進歩だと思われます。
2歳までにはほとんどの子どもは罹患し、感染しても抗体はあまりできず、何回でも発病します。特に1か月未満の乳児は無呼吸を起こし重症化することもあり、また3か月前後の赤ちゃんは細気管支炎という重い状態になりやすく、呼吸困難をきたし入院を要します。
乳児の発熱率は幼児に比べて少なく、「発熱がないから大丈夫」ということではありません。また「生後6か月以内の赤ちゃんはお母さんから免疫もらっているから大丈夫」でもありません。乳児に免疫を付与したお母さんも罹患するからです。この感染症は非常に多くの鼻汁や痰が貯まる病気です。冬の赤ちゃんの風邪は気を付けてください。