2025年3月
【水曜】変形性頚椎症
変形性頸椎症とは、60歳以上になるとよく起こる首の病気です。症状としては、首がだるい、肩が凝る、首をひねった時や後ろに反った時に痛む、腕から手がしびれるなどです。単独に、あるいは他の病気と合併して発生します。特に何かをしたという原因がなく発生するものや、運動をして肩や首をよく使った後に出るもの、あるいは、朝起きた時に初めて痛むものなどがあります。
経過は慢性的に続き、治ったり、再発したりを繰り返す人が多いです。この病気の診断には、レントゲン撮影が欠かせません。レントゲンで頸椎という首の骨を調べると、正常な骨の周囲に余分な骨が付着している例が多く見られます。これを骨のトゲと書いて、「骨棘(こっきょく)」と言います。
人間の体は老化によっていろんなところに石灰が沈着しますが、骨棘も頸椎に石灰化が起こったものと考えられていますこれも頸椎に起こった老化現象と考えられています。骨棘は、頸椎が老化を起こしている印です。また、頸椎以外の部分、例えば靭帯(じんたい)という部分にも石灰化が起こります。さらに、椎間板が老化して、薄くなることも原因となります。
レントゲンで首の動きを観察すると、上を向いたり下を向いたりが、しにくくなっていることがわかります。これは、総合的に首の組織(骨、筋、筋肉、神経)が老化していることの表れと解釈されています。
さて、その治療ですが、第一にすることはリハビリテーションです。頸椎けん引、温熱治療、低周波、マッサージなどは症状を大幅に改善します。症状が改善したら、自分なりに体操したり、スポーツジムに通ったりしても良いでしょう。
リハビリテーションだけで、効果が十分に上がらなければ、鎮痛剤、筋肉弛緩剤、ビタミン剤、安定剤などの内服治療を併用しましょう。それでも、効果が不十分であれば、神経ブロックなどの注射療法を行うこともあります。手術まで必要になる人はほとんどいません。先に述べた治療で多くの人は症状が改善します。
変形性頸椎症は、体の老化現象が頸椎に起こって、それにともなった症状がでたものです。年を取れば、誰にでも起こる病気で、気長に付き合ってください。上記の気になる症状があれば、最初にまずかかりつけ医に相談して、正しい診断を受けてください。