審査対策部だより
「新規指定後個別指導」での指摘事項(医科)
2010.10.05
指導・監査の実施事務が近畿厚生局(兵庫事務所)に移管して以降、指導の実施要領が全国的に標準化され、新規指定後の個別指導においても対象レセプトが20枚(10人×2カ月分)になるとともに、多くの医療機関が、カルテの記載不備などの理由で従来はなかった返還を求められるようになっています。
協会が近畿厚生局に対して文書開示請求をして交付されたものから、昨年度の「新規指定後個別指導」において指摘された事項の主なものを掲載します。
指導に毅然と対応するためにも、保険診療を行う上で日常的に留意ください。
1.診療録にかかる事項(様式、傷病名、記載、責任の所在、訂正方法等)
・症状が病名になっている例が見られた
・病名を一欄に複数記載しているので、改めること。また部位を記載すること
・疑い病名が主病名となっている。また疑い病名が長期間放置されているので、整理すること
・病名が多数並べられており、整理されていないので改めること(コメントを活用すること)
・自費の診療録は保険と区別すること
・検査結果をベタ貼りしている
・複数の医師が診療にあたる場合は、診療録に署名または記名押印すること
・カルテは誰にでも判るよう記載すること
・傷病名の転帰・中止およびその年月日の記載がないので改めること
・検査の必要等あるものは、無理に診断名を付けず、コメント活用のこと
・記載方法が不適切(鉛筆書き)。また記載の訂正方法が不適切(修正液)
(電子カルテ)
・電子カルテの管理運用マニュアルを作成すること
・電子カルテにおいて、略語の使用に留意すること
・電子カルテに書き方について、左側に症状や患者の訴え、右に所見や処方等を書くこと
2.診療内容に係る事項(検査、投薬、注射、処置、理学療法等)
・本人が来院していないのに初診となっている
・外来管理加算について、理解が足りていない
・夜間加算、時間外加算について、診療録に受付時間を記載すること
・特定疾患療養管理料の管理内容の要点が、具体的に記載されていない(「糖尿病の指導をした」という記載では不十分。「毎日10分以上の運動、塩分は6g以下に抑える」など具体的に記載すること)
・慢性疼痛疾患管理料について、管理の要点をもっと詳しく記入すること
・特定薬剤治療管理料について、診療録に検査結果、治療計画を記載すること
・薬剤情報提供を出した旨、カルテに記載がない
・診療情報提供料の紹介先の記載がない(単なる返事、文書の写しが添付されていない)
・在宅患者訪問診療料に係る訪問計画をカルテに記載のこと
・在宅時医学総合管理料について、管理内容の要点を記載すること
・在宅自己注射指導管理料等の指導内容の要点記載がない
・同種同効薬の多剤併用が見られる
・必要性に乏しいビタミン注射・投薬が見られた
・注射について適応外使用がみられるので改めること
・治療の段階を踏まず、安易に注射療法をしている
・トリガーポイント注射でステロイドを併用するときは、必要性についてコメントを入れること
・必要に乏しい検査をしているので、改めること
・薬の副作用チェックのための検査は、病名でなくコメント記載すること
・処置の部位を記載すること
・通院・在宅精神療法について、指導等の要点を具体的に診療録へ記載すること
3.診療報酬請求に係る事項(算定要件、指導料、特定治療材料、突合等)
・健診であるのに初診料を算定している
・電話再診時に特定疾患療養管理料の請求がされている
・一連となる再診行為にそれぞれ再診料を算定している(電話再診料)を算定している
・往診と訪問診療の区別をすること
・処置料として算定すべきものを外来管理加算として請求している
4.事務部門に係る事項(診療科目、診療時間、保険医等)
・保険証等(受給者証)のコピーが診療録に添付されている
・保険診療と自費診療の取り扱いを明確に区別すること
・日計表が作成されていない。日計表は患者個別名を記載すること
・一部負担金を正しく徴収していない。一部負担金の未収金の記載をすること
・実費徴収できないものを徴収しているので、改めること
・届出事項(管理者・診療時間)に変更があった場合は、速やかに変更・異動届を提出すること
・自家診療の一部負担金徴収について、適正に処理すること