兵庫県保険医協会

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審査対策部だより

処方せん料の不当減点事例 ~保険者の一般名処方の薬剤種類数計算の誤り~

2013.03.05

 

患者 国保
診療年月 2012年○月
傷病名 うつ病、高血圧症、高脂血症、不眠症
実日数 1日
請求内容 (12)再診料・明細書発行体制等加算 70×1
(80)通院精神療法(30分未満)1回 330×1
   処方せん料(6種類以下) 68×1
   一般名処方加算 2×1
   長期投薬加算 65×1
減点内容  保険者からの「『処方せん料』の算定誤り。7種類以上の内服薬投与時は(40×1)点での算定でいかがでしょうか」との再審査申出によって査定。
68×1→40×1
処方せん内容 [1]分1・夕食後28日分
   ドグマチール錠50㎎ 1錠
   ソラナックス0.4㎎錠 1錠
[2]分2・朝夕食後 28日分
   トレドミン錠15㎎2錠
[3]分1・朝食後 28日分
   メインテート錠2.5 2.5㎎ 1錠
[4]分1・就寝前 28日分
   レスリン錠50 50㎎ 1錠
   レスリン錠25 25㎎ 1錠
   【般】エチゾラム錠1㎎ 3錠
   ドラール錠15 15㎎ 1錠
   ダルメートカプセル15 15㎎ 1cap
[5]屯服 不眠時 医師の指示通り
   ユーロジン2㎎錠 1錠 28回分
協会コメント  内服薬の種類数を計算すると、1単位当たりの薬価は、[1]は25.4円で1種類、[4]については、一般名処方を行った場合には「[種類]の計算にあたっては、該当する医薬品の薬価のうち最も低いものの薬価とみなす」とされているため、一般名「エチゾラム錠1mg」の最低薬価は1錠6.0円で、[4]の1単位合計薬価は184.5円になるため、1種類となる。このため[1]~[4]で合計4種類となり、処方せん料は68点で間違いなく不当減点である。
 これを、保険者においては、薬局から出されたレセプトでは「エチゾラム錠」として「デパス錠」(薬価40.2円)が調剤されたため、[4]の1単位合計薬価が206.7円で4種類になり、[1]~[4]で計7種類以上として再審査を申し立てたものと思われる。
 医科レセプトで「一般名処方加算」の算定がある場合に、どの薬剤が一般名で処方されたかは調剤レセプトからは不明である。このため、国保審査委員会では、医科レセプトで「一般名処方加算」の算定がある場合は、上記のような理由での処方せん料の減額査定はしない取り扱いとされている。当該事例については審査上の誤りとしているが、このような不当な申し出がないように一般名処方の場合の薬価計算の取り扱いについて、保険者への周知徹底を求めたい。
※参考

1.多剤投与(1処方につき7種類以上の内服薬の投与)の考え方
 (1)内服薬のみ対象とし、「種類」については次のように計算する。
  ①錠剤、カプセル剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
  ②散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
  ③②の薬剤を混合して服薬できるよう調剤したものについては、1種類とする。
  ④薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類とする。
 (2)常態として投与する内服薬が7種類以上の場合で、臨時に投与する薬剤については対象としない。
 (3)臨時に投与する薬剤とは連続する投与期間が2週間以内のものを指し、2週間を超える投与期間の薬剤は常態として投与する薬剤として扱う。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして計算する。

2.内服薬の所定単位の考え方
 1剤1日分が1単位。1剤とは服用時点、服用回数が同じであるもの。なお、次の場合は、服用時点、服用回数が同じでも別剤になる。
 ①配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
 ②固形剤と内用液剤の場合
 ③内服薬とチュアブル錠などのように服用方法が異なる場合