審査対策部だより
2013年度の個別指導における指摘事項(医科)(その1)
2014.06.05
協会が近畿厚生局兵庫事務所に対して指導関連文書の開示請求をして交付されたものから、2013年度の「(新規)個別指導」において指摘された事項のうち、主なものを掲載する(3回に分けて掲載予定)。
個別指導はもちろん、新規個別指導でもカルテの記載不備がある場合は返還を求められるので、療養担当規則や診療報酬点数表に基づいて、日常的に診療内容やカルテ記載に留意することが重要である。
指導の通知が届いたら、一人で悩まず協会に相談いただきたい。
1.診療録に係る事項
(カルテ様式等)
・診療録様式第1号(1)の1(診療録第1面)について、療養担当規則に定める様式に改めること
・診療録様式第1号(1)の1(診療録第1面)に記載すべき事項については全て記載すること(保険者名称、事業所の名称・所在地(協会けんぽの患者)が記載されていない)
・診療録様式第1号(1)の3(診療の点数等)について、作成されていないので必ず作成すること
・診療録様式第1号(1)の3(診療の点数等)について、記載すべき事項については全て記載すること(在宅患者について、記載されていない)
・保険診療以外の診察については、保険診療の診療録と区別して記載すること
(傷病名等)
・診療録の傷病名が整理されていない傾向があるので、その都度正確な傷病名、開始年月日、終了年月日、転帰を所定欄に記載し整理すること
・診療録の内容と診療報酬明細書の傷病名に不一致が認められたので、診療報酬明細書提出前に必ず医師自ら診療録と照合し、記載事項に誤りや不備がないか等について十分に点検を行うこと
・疑い病名については、疑うに足る確実な医学的根拠に基づいたものをつけること
・傷病名については、検査および診断根拠に基づき、必要に応じその都度正確な傷病名を記載し整理すること
・診療録に記載する傷病名については、部位が判断できるよう適切に記載すること
・診療録に記載する傷病名は症状名ではなく傷病名を記載すること
・検査病名等いわゆるレセプト病名は保険請求上認められないので留意すること
・療養費同意書の交付について、診療録に対象疾患となる病名の記載がもれている例が見受けられたので留意すること
・診療録に記載する傷病名について、漫然としているものが見受けられたので、簡略化せず適正に記載すること
(カルテ記載等)
・診断根拠について診療録への記載の乏しい例が認められたので記載内容の充実を図ること
・複数の医師が1人の患者の診療に当たる場合は、診療録への記載の都度、署名または記名押印するなどにより、責任の所在を明確にすること
・診療録は、診療の都度、医師自らが遅滞なく必要事項の記載を行うこと
・初診時において、診療録に患者から聴取した既往歴・現病歴について記載内容の充実を図ること
・診療録の記載はインクまたはボールペンを用いて行うこと(鉛筆で記載あり)
・診療録は保険請求の根拠となるものであることを認識し、第三者にも判読できるようていねいな記載に努めること
・診療録は保険請求の根拠となるものであることを認識し、必要事項、特に症状・所見・治療計画等について記載内容の充実を図ること
(電子カルテ等)
・診療録を電子媒体で保存する場合は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」により、真正性、見読性、保存性の確保が条件となっているため、適切に運用・管理を行うこと。また、「運用管理規定」を定め、これに従い実施することとなっており、早急に「運用管理規定」を定めること
(次号につづく)