審査対策部だより
個別指導における指摘事項(医科)②
2016.03.05
(2月5日号からのつづき)
3 .診療報酬請求に係る事項(算定要件、指導料、特定治療材料、突合等)
・いわゆるレセプト病名と疑われかねない症例が見受けられたので留意すること。
・現に診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、原則として、当該新たに発生した傷病については初診料は算定できない。
・時間外加算等(時間外・休日・深夜)は、主として診療応需の態勢を解いた後において急患等やむを得ない理由により診療を求められた場合、再び診療を行う態勢を準備しなければならないことを考慮して設けられたもので、実態的に診療応需の態勢をとっているときは時間外加算の取り扱いはできない。
・特定薬剤治療管理料の算定について、薬剤の血中濃度、治療計画の要点を記載した場合に算定すること。
・生活習慣病管理料の算定について、個々の患者の病状に応じて療養計画書の留意事項への記載内容等の充実を図ること。生活習慣病管理料を算定した患者について、翌月に算定しないことができるのは、その症状が悪化した場合だとされているので、留意すること。
・往診料は、患家の求めに応じて患家に赴き診療を行った場合に算定するものであることをふまえ、診療録に当該求めの内容を具体的に記載するなど、算定の根拠を明確にすること。
・在宅患者訪問診療料の算定に当たっては、訪問診療の計画、診療内容の要点、訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻および終了時刻)および診療場所の記載に加え、当該患者またはその家族等の署名付きの訪問診療に係る同意書を作成した上で診療録に添付すること。
・在宅時医学総合管理料の算定においては、総合的な在宅療養計画を作成し、その内容を患者、家族およびその看護に当たる者等に対して説明し、在宅療養計画および説明の要点等を診療録に記載すること。
・在宅患者訪問看護・指導料の算定に当たり、訪問看護・指導計画が作成されていない例が見受けられた。
・血糖自己測定器加算の算定に当たっては、血糖自己測定結果の写しを診療録に貼付する等により回数の根拠を明確にすること。
・点滴注射の回路の管理に係る費用は、所定点数に包括して評価されており算定できない。
・処置料の算定において、診療録に所見等が乏しい例が見受けられたので記載内容等の充実を図ること。
・関節腔内注射で算定すべきものを関節穿刺で算定していた。
・同一検体について定性検査と定量検査を併せて行った場合またはスクリーニング検査とその他の検査を一連として行った場合は、それぞれ主たる点数により算定すること。
・尿沈査(鏡検法)は、尿中一般物質定性半定量検査もしくは尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、または診察の結果からその実施が必要と認められて実施した場合に算定すること。
・細菌薬剤感受性検査は、結果として菌が検出できず実施できなかった場合においては算定できない。
・前立腺特異抗原(PSA)は、診察、腫瘍マーカー以外の検査、画像診断等の結果から、前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に、前立腺癌の診断の確定または転帰の決定までの間に原則として1回を限度として算定するものであることに留意すること。
・屈折検査と矯正視力検査を併施した場合は、屈折異常の疑いがあるとして初めて検査を行った場合または眼鏡処方せんを交付した場合に限り双方を併せて算定できるが、それ以外の場合に併せて算定していた。
・コンタクトレンズ検査料を算定すべき患者について、眼科学的検査の費用を出来高で算定している例が多数見受けられたので改めること。
・呼吸心拍監視について、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点が診療録に記載されていないにもかかわらず算定されていた。
・病理診断料の算定にあたっては、診療録に病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点を記載しなければならない。
・病理組織標本作製の実施に当たり、1臓器から多数のブロック、標本等を作製した場合であっても、1臓器の標本作製として所定点数を算定すること。
・写真診断の算定において、診療録に所見の乏しい例が見受けられたので留意すること。
・疾患別リハビリテーション料の算定に際して作成するリハビリテーション実施計画書については、リハビリテーションの開始時のほか、その後3カ月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。
・リハビリテーションの実施記録に記載された実施時間が、一律に20分間と画一的であった。リハビリテーションの実施記録には、正確な開始時間および終了時刻を記載すること。
4 .事務部門に係る事項(診療科目、診療時間、保険医等)
・健康保険等の被保険者証の写しを保険診療に係る関係書類として保管している例が見受けられた。個人情報保護の観点から望ましくない。
・患者から徴収する一部負担金について、徴収すべき額を徴収していないので、適切に徴収すること。
・患者から徴収する一部負担金が未収となった場合の未収金の管理方法等が不適切なので改めること。(請求点数に変更があり未収金が発生した際に、未収金欄に記載していない)
・保険医療機関の届出事項に変更があったにもかかわらず、届出が行われていない例が認められたので、変更があった場合はその都度速やかに届出を行うこと。
(標榜時間・診療科目の変更、保険医の異動など)
・日計表の管理方法が不適切であるので改めること。(未収であるにも関わらず、領収したものとして記載している)
・療養の給付と直接関係ないサービス等の提供に当たって、患者に対していわゆる保険外の負担を求める場合には、厚労省通知に則り適切な手続きにより費用を徴収すること。特に、保険医療機関内の見やすい場所に費用徴収に係るサービス等の内容および料金について患者にとって分かりやすく掲示すること。
・保険外負担に係る費用の請求に当たり、所定の点数に含まれるものを患者から徴収していたので改めること。(ガーゼ、ウロバッグ等)
・一部負担金は、診療の都度、請求すること。(翌月に1月分をまとめて請求していた)
(おわり)