審査対策部だより
支払基金・国保連合会 審査委員会と懇談
2018.03.05
画一的審査行わず、医師の裁量重視を
協会は、1月18日に支払基金、2月5日に国保連合会の審査委員会と懇談。協会から西山裕康理事長をはじめ宮武博明副理事長(審査対策部長)らが出席し、協会が事前に提出した要望書や、協会会員医療機関から寄せられた減点事例などをもとに審査改善について要請した。両審査委員会との懇談は、レセプト審査の改善を目的に、審査委員の改選を受けて2年ごとに実施している。
基 金
「査定理由不明分は照会を」
支払基金審査委員会との懇談には、協会から宮武審査対策部長、川村雅之副理事長、清水映二理事、岩下敬正評議員が参加。支払基金からは齊藤清治審査委員長をはじめ医療顧問、審査委員ら5人が出席した。
協会は、支払基金が昨年7月に発表した「支払基金業務効率化・高度化計画」において、ICTやAI等の活用で2022(平成34)年度までに9割程度をコンピュータチェックで完結することをめざすとしていることに関して、計画の実施にあたっては費用対効果ありきでなく公平・公正な審査を行うよう要請した。
支払基金は「計画の進捗状況と今後の計画については、可能な限り公表していく。計画の実施にあたっては、関係団体のご意見もいただきつつ、医療保険制度の公正性、信頼性を確保するという基本姿勢を堅持し、確実に取り進めていく」と回答した。
また、増減点連絡書および再審査結果通知について、記号による表記だけではなく査定理由がわかる内容にするよう改善を求めたところ、基金は、「平成28年2月審査分から、増減点事由記号に加え、より具体的な理由を可能な限り記載している」と回答。協会が「前回の回答で少し改善されたかと思ったが、元に戻った印象を受ける。医療機関からの再審査請求に対し、原審どおりとする具体的な理由の記載はしにくいのか」とあらためて質問したところ、基金は、「電話での窓口対応(※)を設けているので問い合わせいただきたい」とした。
また、協会から具体的な減点事例を示し、医療機関からの再審査請求の結果「原審どおり」とされた3事例について、基金は、「再審査部会において改めて協議するので、お手数だが再々審査の申し出をお願いしたい」とした。
※支払基金兵庫支部・再審査相談窓口
☎078-302-5000
国 保
「病名もれは資料添付で再審査可」
国保連合会審査委員会との懇談では、協会から西山理事長、吉岡巌副理事長が参加。国保連合会からは審査委員会会長ら5人が出席した。
協会は、国保中央会が昨年10月に発表した「国保審査業務充実・高度化基本計画」に関して、計画におけるICT等を活用したコンピュータチェックについて画一的に審査を行わず、主治医の裁量を重視し、医学的常識に基づいた審査を行うよう求めた。
国保連合会は「コンピュータチェックによる診療行為の適否については、審査委員会において、療養担当規則、旧薬事法、関係通知等に基づき適正で公平な審査を行う」と回答した。
また、点数表や通知に基づかない審査基準(内規)を公表するよう求めたところ、国保連合会は「確認された事例については国保中央会のホームページに掲載している。文書化された内規等は定めていない」とした。
病名もれに対する査定について、協会が「根拠資料があれば再審査請求ができるとのことだが、カルテのコピーでも可能か」と尋ねたところ、国保連合会は「症状詳記にカルテおよび画像データなど客観的資料を添付していただければ再審査請求を受け付けたうえで、医学的に判断している」と述べた。
協会が具体的な減点事例として示した、一次審査や再審査で査定された3事例について、国保連合会は「算定可能と考える。医療機関には再審査請求していただきたい」とした。