兵庫県保険医協会

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審査対策部だより

新規個別指導での主な指摘事項(医科)

2021.12.05

 2020~21年にかけて兵庫県下で実施された医科の新規個別指導における主な指摘事項(入院外)を掲載する(近畿厚生局開示資料より抜粋・一部編集)。末尾の「(返還)」は、自主返還が求められた事項。コロナ禍で実施が延期されていた個別指導が11月より再開されているので、厚生局から指導の実施通知があった場合は、協会事務局(電話078-393-1840)までご相談いただきたい。

  1. 診療録等
    • 保険診療の診療録と保険外診療(予防接種等)の診療録とを区別して管理していない。
    • 医師による日々の診療内容の記載が不十分。診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。
    • 電子的に保存している記録(編注:電子カルテ)について、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠していない(代行操作の承認の仕組みがない/医師のIDを他の職員(クラーク)が使用している)。代行入力を実施する場合は、入力を行う職員ごとにIDを発行し、必ず代行入力する職員のIDで入力するとともに、診療を行った医師が速やかに確定操作(承認)を行うこと。
    • 紙媒体の記録について、複数の保険医が診療に当たっている場合に署名または記名押印が診療の都度なされていないため、診療の責任の所在が明らかでない。
    • 診療報酬の請求に当たっては、診療報酬明細書について保険医自らが診療録との突合を行い、記載事項や算定項目に誤りや不備等がないか十分に確認すること。
  2. 傷病名
    • 長期にわたる「疑い」の傷病名(例:肝機能障害の疑い、膵炎の疑い等)や、重複して付与しているまたは類似の傷病名など、傷病名を適切に整理していない。傷病名には正しい転帰を付して、適宜整理すること。
    • 部位や左右の別の記載がない傷病名がある。傷病名は診療録への必要記載事項であるので、正確に記載すること。
    • 検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠のない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められた。レセプト病名を付けて保険請求することは、不適切なので改めること。診療報酬明細書の請求内容を説明する上で傷病名のみでは不十分と考えられる場合には、摘要欄に記載すること。
  3. 初・再診料
    • 健康診断と同時に保険診療を行った場合に初診料を算定している。(返還)
    • 再診料の時間外加算について、常態として診療応需の態勢をとっている時間に算定している。(返還)
    • 外来管理加算について、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いた場合に算定している。
  4. 医学管理等
    • 特定疾患療養管理料について、治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点について、診療録への記載がない。(返還)
    • 診療情報提供料(Ⅰ)について、
       (1)交付した文書の写しを診療録に添付していない。(返還)
       (2)紹介先の機関名を特定していない文書で算定している。(返還)
       (3)診療に基づき他の機関での診療の必要性等を認め、患者の紹介を行った場合ではないものについて
        算定している。(返還)
       (4)紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している。(返還)
  5. 在宅医療
    • 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻および終了時刻)および診療場所の診療録への記載が不十分。
    • 往診料の緊急往診加算について、標榜時間外に行った往診について算定している。(返還)
    • 在宅時医学総合管理料について、説明の要点等について、診療録への記載が不十分。
    • 在宅療養指導管理料(在宅自己注射指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料等)について、指導内容の要点の診療録への記載が不十分。
    • 訪問看護指示料について、実際に交付した指示書等の写しを診療録に添付していない。
  6. 検査・病理診断
    • 血液検査について、医学的な必要性の判断が不明確である。検査は、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、必要最小限の回数で実施すること。
    • 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行っていない患者、またはその他の要件にも該当しない患者に対して算定している。(返還)
    • 病理判断料について、病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点について、診療録への記載がない。(返還)
  7. 投薬・注射
    • ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨について、診療録および診療報酬明細書への記載が不十分。
    • 注射の必要性の判断について、診療録への記載が不十分(ラエンネック等)。
  8. リハビリテーション・精神科専門療法・手術
    • 疾患別リハビリテーションについて、機能訓練の開始時刻および終了時刻の診療録等への記載が画一的。
    • リハビリテーション総合計画評価料1について、理学療法士、看護師等の氏名の記載漏れが散見され、多職種が共同して作製、評価したことが不明確。
    • 通院精神療法に要した時間について、5分を超えていることが不明確。
    • 手術記録の記載が不十分。