文化部だより
文化部特別企画「男性の装いの基本」企画感想
2016.06.10
文化部特別企画感想
紳士服の「選び方」「着こなし」を学ぶ
文化部は5月29日、特別企画「男性の装いの基本~お気に入りのジャケット・スーツで学会・会合に」を開催。(株)BEAMS2部スーパーバイザーの髙見京三氏、BEAMS・HOUSE・KOBEショップマネージャーの増田雷三氏を講師に、会員や家族ら45人が参加した。参加者の感想 を紹介する。
協会文化部の多彩な事業の一端に参加した。チョイ不良紳士を代表して不肖永本が感想を述べる。
筆者は神戸の某紳士服店で40年以上前から服を仕立てており、既製服はほとんど買ったことがない。一見贅沢に思えるが、実はその方が結果的に経済的である。その理由は、拵えた服は流行を超越して40年以上前の服でも着られるし、また年をとって体形が変わっても、無料で仕立て直しをしてくれる。
筆者の服の選び方は、まず裏地、ボタン、最後にウールの表地というparadoxical(逆説的)な選び方をしている。その服屋には私の40年間の記録が保存されているが、誰もが筆者の真似をしない方が良い。何故ならそんなことをしたら、既製服が売れなくなる。
BEAMSのようなイギリスのフォーマル、イタリアのカジュアルな流行を追う服を買い求めるのも個人の自由である。紳士服のfashion modeは007のジェームズ・ボンドが決めているらしい。映画のショーン・コネリーやダニエル・クレイグのスーツがその年のmodeとして業界をリードしてきたとの由。背広の語源はロンドンのSavile Rowの紳士服屋からきたらしいが、スーツは元来、軍服や乗馬服であった。
服選びで最も重要なのは「サイズ」。ジャケットの場合は肩線が肩峰から落ちないこと、腹部に拳が1つ入る余裕。着丈は総丈の2分の1より3~4㎝短くする。袖丈はジャケットからシャツ袖が1・5㎝見えるのが基本。その理由はドライクリーニングがない時代、ウールの袖が汚れないようにシャツを外へはみ出させていた。上着のサイドベントは乗馬服の名残り。ベストの最下ボタンを使わないのは1870年代のエドワード7世の気まぐれかららしい。フォーマルスーツの取り決めは大英帝国の歴史そのものである。
会場には意外にも女性聴講者が多くいたが、会員の奥様が多数参加していたらしい。ご主人のネクタイを選ぶのは奥様という考えもあるらしいが、筆者は自分で選ぶ。
フォーマルスーツの基本はネイビーブルーである。シャツ、パンツ、ネクタイ、靴を含めてトータルコーディネートしてはじめて、ダンディーと言える。馬子にも衣装とは言われたくないものだ。 【明石市 永本 浩】
講師は着こなしの基本を解説した