女性医師・歯科医師の会
[インタビュー]病気の経験いかして
2010.08.05
中央区 辻 ゆかり
私は沖縄県で生まれ育ちました。医師を志したきっかけは、中学生の頃に読んだマンガ「ブラックジャック」です。外科医にあこがれましたね。かっこよかったです。全巻そろえて、セリフも覚えて。
医学部に進み、当然のように外科医を目指しましたが、「女性が外科に入局するのはきつい」と周囲からの助言を受けました。
専門科の選択に頭を悩ませ、当時はまだ珍しかったスーパーローテートでの研修をしていた沖縄協同病院へ。救急から老人病棟まで経験し、内科、外科、整形外科、麻酔科、脳神経外科、小児科、産婦人科を時間をかけて回り、患者さんと接する中で婦人科を選びました。
婦人科の魅力は、なによりも患者さんが女性ということ。女性である私が女性の患者さんを診ることに意義を感じています。
大阪の病院で勤務していたころの2000年に、私は子宮内膜症と多のう胞性卵巣症候群を患い、手術を受けました。手遅れだと死に至ります。働く女性に多く発症する現代病で、痛みは体質のせいだと誤解して発見が遅れるケースも多々あります。"婦人科専門医の私がかかるなんて"と大変ショックでした。
手術後には、2人の子どもを無事に出産。ところが、産休などで周囲に大きな迷惑をかけてしまうことになり、開業を考えるようになっていきました。
病気の経験をし、予防や検診の重要性を発信していかなければと強く思うようになりました。今、その経験をいかし女性のためのクリニックを開業しています。「相談して良かった」と安心してもらえるよう、心の暖まる診療をしていきたいと思います。