女性医師・歯科医師の会
[インタビュー]ハートケアが大切
2012.01.05
「ハートケア」が大切
小さい頃から本が大好きで、夢は図書館で働くことでした。でも、ぜんそくで病弱だったのを心配した母から、医学を学べば死なないだろう、その後は好きにしていいと言われ、神戸大学医学部に入学しました。
精神科を選んだのも、ポリクリのとき、中井久夫教授から「精神科は小説でも何でも、人間の研究をすればいい」と言われ、好きな本を読めると思ったからです。
研修医になっても、よく発作を起こし倒れていました。しかし、病棟の運動会の日、初めて自分の処方で発作をとめてから、「ぜんそくはコントロールできる」と自信がついたのか、大きな発作がほとんど起こらなくなったのです。心のあり方で身体はこんなに変わるんだと実感したことで、心身の相関関係に興味を持ち、精神科の診療にはまっていきました。
身体に表れる症状だけを見て高度な検査や治療を続けても、精神的な要因が見落とされ治らないことがあります。精神科は数値の確証がないと言われる先生もおられますが、他科と連携すれば治療効果は大きいと思っています。
阪神・淡路大震災の後、被災者の方がうつ病やPTSDに苦しんでいるのを見て、被害の大きかった東灘区で97年に開業しました。大好きな文豪・谷崎潤一郎ゆかりの地で、ノスタルジックな雰囲気が残るうちにじっくり見ておきたいという思いもありました。再開発とともに、その面影もすっかり消え、残念です。
核家族化が進み、コミュニティーがなくなるなか、精神疾患も変わっています。人との関係が築けない若い人の受診が増えました。また、若さが理想のように言われ、患者も医師も「完璧に戻すこと」が治療と思いがちです。でも、人は皆老いていくもの。
変わっていく患者さんの心に寄り添った「ハートケア」をしていきたいと思っています。