女性医師・歯科医師の会
インタビュー 「生活の背景まで診る医療を」
2013.04.25
生活の背景まで診る医療を
尼崎市 井上 陽子
開業して12年です。子どもの頃、「お医者さんは格好いい、偉い人」というイメージを持っていましたが、高校生のときに北杜夫氏の著書『どくとるマンボウ』を読んで、人間味溢れる世界でとても面白そうな仕事だなと強く憧れ、医師になりました。
兵庫県で生まれ、1歳から尼崎に住んでいます。子どもの頃は、よく三和本通商店街を走り回っていました。今でも服飾店や飲食店などさまざまな店が軒を連ね、これぞ商店街! といった雰囲気が残る尼崎が大好きです。幼い頃からお世話になった方も患者さんとして来ていただいています。
開業10年を節目に今後の医院の方針について考えをめぐらしていたちょうどその頃、自分の体調管理にも悩んでいたので、統合医療の研修会に参加してみました。医学部教育であまり習わなかった食事や栄養療法などを学び、「これだっ」と思いました。
「統合医療」との出会いがきっかけで、食生活、運動やメンタル面などあらゆる分野から健康を考えることの必要性を痛感し、その視点を診療にも取り入れようと努力してきました。
発疹の原因も、ただ症状を治療するだけでなく、「外出は多い? スポーツは?」など生活実態を積極的に聞いています。子どもの頭皮の病気も、実は大人と同じような要領で髪を洗うことが原因の一つだったりします。「お子さんのシャンプーの量はこの程度で十分ですよ」と職員さんの力も借りて洗髪指導も始め、診療スタイルも広がりました。
以前よりも患者さんとの楽しい会話が増え、診療にも手ごたえを感じつつ、憧れた『どくとるマンボウ』の世界に少し近づけたかなと思います。
協会の勉強会で鍼灸の講義がありました。次回の開催を楽しみにしています。