女性医師・歯科医師の会
女医の会インタビュー「漢方で女性の体を見守る」
2014.08.05
女医の会インタビュー漢方で女性の体を見守る
南あわじ市 日笠 久美
尼崎市内の病院で20年ほど勤めたあと、2002年に父の医院を継ぐために南あわじ市に戻り、漢方外来を行っています。
勤務医時代に、不定愁訴を訴える患者さんに対して、西洋医学がフィットしないと感じていました。たとえば、風邪のひきはじめは総合感冒剤などを出しますが、効かない場合、何もできませんでした。
そんなとき、県立尼崎病院に当時では数少ない東洋医学科があり、松本克彦先生の外来を見学し、身体全体に向き合う漢方医学で不定愁訴から改善する患者さんをたくさん見て、漢方に関心を持ちました。
それからは週に1回松本先生のところで勉強をさせていただくようになり、非常勤として診療も始めました。
当時は、まだ分からないことも多く、患者さんになんとか応えないと、という気持ちで必死に勉強しました。そのなかで、症状が大きく改善する患者さんがおられ、「この医療でやっていこう」と決心し、勤務していた病院にも漢方を取り入れました。今も内科を中心にさまざまな科目の訴えを東洋医学で診ています。
当院にはアロマセラピストや鍼灸師もいます。身体をリラックスさせることで症状が良くなる患者さんも多いですね。私だけではなく、看護師、鍼灸師などそれぞれ違う目線で話を聞き、みんなで見守ることで患者さんにも安心していただけます。
女性の方が多く来院されますね。女性同士なので女性特有の生理現象に共感できます。女性の漢方医で女医ネットを作り、座談会などを行い、同じ女性としてどう身体を見守っていくかなど交流もしてきました。女医として、近い距離で女性を診ていく使命があると感じています。
最近、医療保険の「給付の適正化」として、漢方の保険外しが出てきていますね。09年に漢方の保険適用除外が提案された時に、東洋医学会を中心に全国的な署名運動に取り組みました。92万筆を国に提出して、引き続き保険適用が認められたんです。
中国や韓国では伝統医学が大切にされていますが、日本ではないがしろにされていると感じます。政府は先端医療ばかりではなく、伝統医学を守ってほしいと思います。
協会はユニークな研究会が多いですね。遠くてなかなか行けませんが、ぜひ参加したいと思っています。