女性医師・歯科医師の会
女医の会インタビュー(19)「公衆衛生の観点から地域医療支えたい」
2016.04.25
女医の会インタビュー(19)公衆衛生の観点から地域医療支えたい
兵庫県健康福祉部参事兼健康局医療課長
味木 和喜子先生
大学院で公衆衛生を学んで以来、ずっと公衆衛生に携わってきました。公衆衛生の分野に進んだのは必ずしも志をもってというわけではなかったのですが、学生時代に出産し、子育てしながらもう少し勉強したいと学んでいくうちに、面白さに目覚めました。
ご縁があり、大阪府立成人病センター調査部でがん登録に長く携わり、そこから、国立がんセンターのがん対策情報センターの立ち上げに呼んでいただいて、5年間、患者数や罹患率、治療効果などのデータを集めるがん登録を標準化し、全都道府県へ広げようとがんばってきました。この1月から全国がん登録という全国でデータを集める仕組みができ、がん対策の向上に役立てていけると大いに期待しているところです。
センターでは後任が育ってきましたので、地元の兵庫県に戻って今に至ります。この4月から健康福祉部医務課に異動となりました。医務課は医療体制の確保が主な業務です。県民の方がどこでも安心して医療を受けられるように、人口規模も医療機関、医療従事者の数も全く異なる県内の10の2次医療圏、それぞれの地域の特徴をふまえ対策を考えます。
医師不足、看護師不足が深刻ななか、医療従事者の確保が大きな課題です。へき地へ行ってくれる医師や看護師の養成・離職防止・再就職支援などに取り組んでいます。
皆さんの声を聞かせていただいて、一緒に何ができるか考え、皆で実施していく、そのための後押しをするのが行政だと思います。地域医療を第一線で担っていただいている、保険医協会の開業医の先生方からも、県行政のできることは何か、お話をうかがえればと思います。医師だということで、医療従事者と行政をつなぐ役割を果たしたいです。
臨床では自分の専門分野を深めていくのに対し、行政の仕事は疾病対策や医療体制の問題まで幅広い分野に携わります。勉強しなければならないことばかりですが、楽しいですね。よかったことしか覚えていないような性格ということもあって、苦労は感じません。決められた時間までに仕事を終わらせようとがんばっていた子育て中を思い返すと今は忙しくても「楽勝」と感じてしまいますよ。
結婚・出産も含めていろいろな経験をすればするほど幅が広がるので、若い先生方には、どんどん経験を積み何でも吸収していただいて、女性パワーで地域医療を一緒に支えていこうと伝えたいです。
(聞き手 服部かおる新聞部員)