兵庫県保険医協会

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環境・公害対策部だより

談話 武庫川ダム建設回避 総合治水の実現を

2010.02.15

環境・公害対策部長 森岡 芳雄

 兵庫県は1月26日、今後20年間の河川整備目標を定めた「河川整備計画(原案)」で、武庫川ダムの建設を回避すると発表した。新規ダム建設は、合意形成と建設に長時間を要するため回避し、河床掘削や堤防強化などの河道対策、遊水池、学校・公共施設の雨水貯留施設などの流域対策など、流域全体で考えるダム以外の早期実現可能な治水対策に取り組むとしている。
 協会は、武庫川ダムは、必要性のない無駄な大型公共事業であるとし、新規ダム以外の治水対策を優先すべきと、署名や県との懇談などを通じ要求し続けてきた。建設回避を評価したい。
 今回ダム建設が見送られたのは、民主党政権のダム建設見直し方針が強く影響したと考えられるが、計画の内容は有識者や地域住民でつくる武庫川流域委員会の提言に沿ったものとなっている。ダム計画に反対し、流域委員会を通じ、あるべき治水のかたちを自ら考えてきた住民たちの粘り強い運動の成果といえるだろう。
 一方、注意すべき点もある。県が武庫川ダム建設に固執する構えを見せていることである。井戸知事は2月2日の定例記者会見で「ダムの必要性は絶対ある」と述べ、「中止や凍結、消滅ということではない」と強調した。住民の監視の力が弱まれば、県は総合治水をおろそかにし、再びダム建設推進に転換するかもしれない。
 04年の台風23号、09年の台風9号による甚大な被害を鑑みても、100年に一度の水害を想定した防止策はハード面で実現の困難性や対経済効果や環境破壊といった問題を抱えており、ある程度自然災害としての水害発生を容認した上で、経済的にも環境的にも負担の少ない20年~50年に一度の水害を想定した防止策のハード面の早期実現と、水害発生時の減災対策、公的保障の確立というソフト面での施策の確立が重要である。
 今後同流域委員会での検討などを経て、正式に計画が決定するが、計画原案に盛り込まれている河道対策、流域対策、減災対策を、流域委員会の提言に沿って具体化し、実効性のあるものとすることが必要となるだろう。
 協会は、住民の主権により、今後も川を見守る体制づくり、フォローアップ委員会(仮)の設置、ダムに頼らない総合治水実現を引き続き求めていきたい。

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