環境・公害対策部だより
大飯原発視察会・感想文紹介
2012.08.25
原発という麻薬に頼らず
エネルギー転換と省エネを
近舞線の大飯高浜ICまで迎えに来ていただいた大飯町の猿橋町議会議員から、バスの中で、大飯町の施設のガイドが始まった。
最初に見えて来たのは、460メートルの巨大滑り台がある一山丸ごとの「きのこの森」。次に生徒数69名で3階鉄筋コンクリート建の立派な本郷小学校。首相官邸を横方向に拡大したような保健・医療・福祉総合施設「なごみ」。日帰り温泉「あみーシャン大飯」。そしてホテル・こども家族館・エルガイア・マリーナ・青戸クルージング用桟橋を備えた広大でピカピカの「うみんぴあ大飯」。全てが原発関連の補助金でできているとのことだ。
遅い昼食後、猿橋議員のお話をうかがった。その中で、原発立地対策費がハコ物ばかりでなく、最近は福祉や医療サービスや人件費などソフト面に活用されており、そうなると麻薬のようなものだ、とおっしゃっていたのが印象的であった。
青戸クルーズ船で、大島半島に沿って小浜湾を回った。本当に自然が美しく、なおかつログハウスなどの充実した施設が整っている。
これらも補助金のおかげであろう。そうしてやっと大飯原発が、山と山に挟まれて隠れるように姿を現した。その前の海には海面から3メートル程のテトラポットの防波堤があるが、来年には13メートルにかさ上げされるそうだ。3メートルでは津波が来ればひとたまりもないことは、一目瞭然である。
大飯原発は関西電力であるから、われわれ関西は電力供給してもらっているが、ここ福井県には供給されていないと伺った。
大飯町民は、札束で頬を嬲(なぶ)られているようなものだと思った。嬲っているのは、われわれ関西人である。福島原発における首都圏民も同様だ。このことを自覚していない関西人や首都圏民が多すぎると思う。
一たび事故が起これば、この美しい自然と大飯町の皆さんの故郷が失われてしまうばかりか、琵琶湖が汚染されるわけだから、翌日から関西人は水が飲めなくなってしまう。
しかし、これらはすべて人間中心の考えである。この20年で北極の氷が激減している。そのため北極熊の子供が死んでいる。地球の36億年の歴史において、20年とは一瞬である。即ち私達人間のせいである。
猿橋議員は原発でもウラン採掘から濃縮・輸送・管理等でCO2を生み出すと説明されたが、それは火力発電でも同様である。即ち火力発電のほうがCO2排出量は多い。自分の子どもが可愛いからといって、原発を再開しないで火力発電を増やして補うというのは、あまりにも傲慢である。地球から見れば、人間の子どもも北極熊の子どもも同じである。白熊は地球温暖化を止められないから、人間が止めなければならない。
全てのものには耐用年数がある。そして今後原発を新設することは、何かあれば故郷を奪われる地元が許してくれはしない。すなわち30年後には、好むと好まざるとのいかんにかかわらず、原発はゼロにならざるを得ない。
だから、30年後には、再生可能エネルギーが原発と火力発電に代わって営業運転していなければならない。人類の英知を集めて緊急に開発しなければならない。一刻の猶予も許されない。
現在政府は2030年に原発依存率を0%・15%・30%のどれを選択するか議論しているが、2040年代には必ず0%にならざるを得ないのだから、そんな議論に使う時間はない。
そして、省エネが必須である。お天道様と一緒に生活するのが一番だと思う。少なくとも、蚊帳で寝るような生活にすべきと考える。
【三田市・歯科 小寺 修】
原発ゼロをめざそう
7月15日、保団連近畿ブロックから32人が大飯原発視察のため、京都に向かいました。
報道でもあったように、亀岡付近でのゲリラ豪雨のため京都縦断道路の一部が崩壊し、通行止めによる大渋滞、予定より4時間ほど遅れ午後3時過ぎ大飯町に到着しました。
早々に昼食を済ませ、おおい町議会議員さるはし巧さんとの懇談会、その後青戸クルージングにより原発の遠望などを無事に終了し、今回は13時間あまりの視察となりました。
日本は世界屈指の地震国であることから、永久的安全は絶対にあり得ません! もし原発が再稼働し、福島と同じような事態が起これば今後どのような対策がなされるのか、天災、地震、人災などの危機管理がシステム化され、より安全なものとなり、政府、地方自治体、企業は正確かつ迅速な情報公開を約束しなければ絶対に原発稼働をしてはならないと思います。
またそのシステムが上手く動作するよう民間を含め、実地訓練なども必要になるでしょう。
世界中でも長崎・広島の原爆、ビキニ環礁第二福竜丸の被爆、東海村の事故、今回の福島と、国土の狭い国で4回もの被曝事故を経験するということは異常であり、技術大国とは決して言えないと思います。被曝していない国は、わが国日本をどう思っているのか知りたいものです。
この町は山林95%、耕作地が5%の面積の、リアス式海岸で人口約8800人の美しい町です。電源復興金によりJRの電化化・学校・病院等の箱物といわれる立派な建物が立ち並んでいました。
おそらく原発を含む関連企業にたくさんの人々が雇用されており、現代では電源復興金で運営費までも捻出し、この資金が底をつけば将来町の経済は破綻し、あり地獄のようになっていくのではないでしょうか。
福島の原発事故後、原発の投資対利益効果の悪いことを知りながら、政府・企業は目先だけの利益を優先し、将来の危機を認識しているにもかかわらず住民にアメとムチを与えるように、危険優先の原発で住民を騙し続けていたのです。
全国の原発を廃炉にするには、莫大な時間、資金、危険性、人力が必要であり地域住民は何重もの苦しみを受けることでしょう。
反原発派のさるはし巧さんとの懇談会では、貴重な資料とともに大飯町民の生の声も聞かせていただきました。
私たち全国民はその負担をできる限り軽減するよう、限りある資源をもっと有効に利用、活用し、地域住民の安心安全を守り、一刻も早く「原発ゼロ!」をめざし努力しようでありませんか。
【三田市・歯科 中西 透】