環境・公害対策部だより
理事会特別討論「エネルギー政策」 市民と共同し再生可能エネルギー普及を
2012.11.05
協会は10月13日、日本環境学会会長の和田武氏を講師に招き、理事会特別討論「エネルギー政策と再生可能エネルギー普及」を協会会議室で開催した。
和田氏は温暖化や原発事故の問題から、再生可能エネルギーへの転換が不可避であることを強調。その上で、再生可能エネルギーの普及が進んでいるドイツやデンマークの事例を紹介しながら、日本でも今年7月に導入された電力買い取り補償制度を活用する取り組みを解説した。
和田氏によると、ドイツやデンマークで再生可能エネルギーが普及しているのは、再生可能エネルギーによって発電された電力を、導入者が損をしないよう一定価格で買い取りする制度があることが要因。市民が中心になって導入を進め、売電収入によって過疎化に悩む農村地域などに産業や雇用が生み出されているという。
日本でも震災・福島第一原発事故後、エネルギー政策の転換を求める国民の世論を受け、和田氏が参加する調達価格等算定委員会で買い取り価格が審議され決定した。しかし、電力業界の抵抗により、電力会社が買い取り契約を結ばない余地が残されていたり、送電線網の整備が遅れているなどの課題も残っていることが紹介された。
最後に和田氏は、以前から日本でも市民による再生可能エネルギーの導入が進められてきたと各地の取り組みを紹介し、大企業が発電インフラを独占するのではなく、市民や地域に利益が還元されるようにすることが、再生可能エネルギーの普及による社会の持続につながると強調した。